2024.07.18

CARS

アウディA4がフルモデルチェンジ A5に改名した理由や、一新された外観や進化した中身を解説

2024年7月16日、アウディAGは新型「アウディA5」を発表した。それぞれセダンとステーションワゴンの「アバント」が用意される。

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クーペやカブリオレはナシ

ここで「?」となった人もいるだろう。そう、新型A5は、クーペやカブリオレではなく、セダンとアバントなのである。

A5

EVが偶数、ICEが奇数

じつはアウディは、煩雑になってしまったモデル・ポートフォリオを解りやすくするために、現在モデル名の整理をしている最中。将来的には偶数のモデルが電気自動車=バッテリーEV(BEV)、奇数のモデルはICE(内燃機関)搭載モデルとなる。つまるところ、今回登場したニューA5はICE搭載モデルであり、「A4」の名は今後登場するであろうBEVのためにキープされた状態なのだ。

つまり新型A5は、従来のA4の後継モデルである。実際、ニューA5には、「B10」というコードネームが与えられている。このコードネームは歴代A5の「8T」や「F5」とは繋がりがなく、逆に、「B+数字」という歴代A4に与えられていたものだ。そのことからもこのモデルが歴代A4の延長線上にあることは明らかである。

A5アバント

ボディはひと回り拡大

というわけで、A5に統合されたアウディの新世代ICE搭載Dセグメント・セダン&アバントは、セダン、アバントとも全長×全幅×全高=4829×1860×1444mmと、先代のB9系A4より若干だが大型化した。ホイールベースは2892mmで、72mm伸びている。このことからも新型は従来の「MLB Evo」ではなく、プラットフォームから刷新されている。

ニューA5は、フォルクスワーゲングループが「MLB」の後継として新たに開発した、「PPC」(プレミアム・プラットフォーム・コンバスション)を初めて採用したモデルだ。PPCは今後、BEV用の「PPE」とともに、アウディの多くのモデルに展開される予定である。

A5アバント

切れ長のLEDヘッドライト

新型はクリーンでありながら曲面を多用した、シャープかつダイナミックなデザインを手に入れている。フロント・マスクは、さらに横方向へ拡大したシングルフレーム・グリルと、切れ長のLED式ヘッドライトが特徴的だ。マトリックスLEDテクノロジーを選択すれば、8つの異なるシグネチャーが選べるようになる。また左右が繋がった第2世代のOLEDリア・コンビランプも、同様に8つの異なるシグネチャーを表示可能だ。

これまで以上にロング・ホイールベース&ショート・オーバーハングとなったニューA5だが、セダンはより4ドア・クーペ的なプロポーションとなり、実際に従来のA5スポーツバックのように、トランクリッドはリア・ウインドウと一体開閉式となっている。

A5

スポーティ・ルックのアバント

一方アバントは、ステーションワゴンながらDピラーとリア・ウインドウは大きく傾斜し、スポーティなスタイルに纏められている。

ちなみにセダン、アバントとも、先代A4からサイズアップし、ホイールベースも伸びたが、ラゲッジ容量はセダンが445リッター(先代A4は480リッター)、アバントは476〜424リッター(同495〜1495リッター)と小さくなった。この点は、絶対的な容量より使い勝手の良さや、デザインを優先したのだろう。

A5アバント

先進的なインテリア

インテリアは、とても先進的な印象だ。曲面デザインのOLED(有機ELディスプレイ)を用いた「アウディMMIパノラマ・ディスプレイ」は、ドライバー正面の11.9インチのバーチャルコクピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成され、助手席正面にもオプションで10.9インチのMMIパッセンジャー・ディスプレイを採用。フロント・ガラス投影タイプのヘッドアップ・ディスプレイも搭載した。

また、新しい操作コンセプトを用いた「E³電子アーキテクチャー」により、ユーザーのデジタルエコシステムと車両のシームレスな接続体験を提供するという。

A5

2リッターのガソリンとディーゼル

搭載されるパワートレインは、セダン、アバントとも共通で、ガソリンが150㎰および204㎰を発揮する可変ジオメトリー・ターボを備えた2.0リッター直4ターボのTFSI、ディーゼルは204㎰/400Nmを発揮する2本のバランサーシャフトやSCR(尿素還元型)触媒を直列に2つ配置したツインドージングを備えた2.0リッター直4ディーゼル・ターボのTDIの計3種類。150㎰仕様の2.0TFSIは前輪駆動(FF)のみだが、その他はFFと4WDの「クワトロウルトラ」が用意される。トランスミッションは全車デュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)だ。

ちなみに、これまで使用されていた、「35TFSI」や「40TDI」といったモデル名は使用されず、今後は「TFSI 110kW」や「TDIクワトロ150kW」のように最高出力を明記した解りやすくスタイルとなる。

A5

367psのS5もラインナップ

高性能バージョンのS5も、セダンとアバントに用意される。こちらは367㎰の最高出力と550Nmの最大トルクを絞り出す3.0リッターV6ターボのTFSIを搭載。2019年以降、ヨーロッパ仕様のS4/S5は、専用チューンの3.0リッターV6ディーゼル・ターボのTDIを搭載していたが、新型では再びV6ガソリン・ターボが搭載される。

トランスミッションはデュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)が組み合わされ、駆動方式はもちろん4WDのクワトロ。トルクベクトリング機能を備えたクワトロ・スポーツ・デファレンシャルも標準搭載し、極めてダイナミックな走りを実現した。

S5

全車マイルド・ハイブリッドを搭載

ニューA5/S5はさらに、全車に新しい48Vマイルド・ハイブリッド・システムである「MHEV plus」システムを搭載する。24㎰と230Nmを発揮するこのシステムは、発進や加速をアシストするにとどまらず、ごく低速時や駐車時には電気モーターのみでの走行も可能。より上質で高効率な走りを実現している。

ドイツにおける価格はすでに発表されており、最もベーシックな150㎰の2.0TFSIを搭載したFFのTFSI 110kW(ナビゲーションシステムや電動テールゲート、非接触スマホ充電ホルダーなどが標準装備)で、セダンが4万5200ユーロ(約770万円)、アバントは4万6850ユーロ(約800万円)。これは、現行A4のベーシックモデルである35TFSIより3400ユーロ(約58万円)高くなっている。



文=竹花寿実

(ENGINE WEBオリジナル)

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