2024.10.13

CARS

ついにハイブリッド化された新型ポルシェ911カレラGTS エンジン編集部のムラカミが試乗!

ポルシェ911カレラGTSにスペインのマラガで試乗。

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1963年の誕生以来、61年にわたる歴史上で初めて、ロード・カーとしてハイブリッド・システムを搭載した新型911が登場した。果たして、その乗り味はどうか。スペインで開かれた国際試乗会からエンジン編集部のムラカミが報告する。

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いったい911はどうなるのか?

ついに来るべき時がやって来たということだろうか。すでにタイカンやマカンのフルEVを世に出し、カイエンやパナメーラでは最上級パフォーマンス・モデルにハイブリッドを据え、次期型ケイマンとボクスターはフルEVにすると発表しているポルシェが、いよいよブランドのアイコンである911にもハイブリッド・システムを導入したのだ。



ただし、今回登場したハイブリッド・モデルはカレラGTSだけで、同時に新型になったカレラには従来と同じ電気モーターとは無縁のツインターボのフラット6が搭載されている。果たして、ハイブリッド化された911とはどんな乗り物なのか。内燃機関を継続したカレラとはどんな乗り味の違いがあるのか。とにかく知りたいことばかりで興味津々、南スペインのアンダルシア地方、ピカソ生誕の地としても知られるマラガへと赴くことになった。

試乗会の基地となったのは、ゴルフ場も併設したマラガのリゾート・ホテル。7月に入った南スペインはすでに真夏の暑さだったが、試乗前日の夕方から始まったプレス・カンファレンスは、さらに熱を帯びたものとなった。なにしろ、ハイブリッド化の噂が出始めてからというもの、ポルシェには様々な否定的な声が聞えてきていたというのだから。

すなわち、「誰がハイブリッドの911なんて必要としているんだ?」という罵声から、「ハイブリッドの911? そりゃ、終わりの始まりだ。おやすみなさいポルシェ」という諦めの声。さらには、「私は911ハイブリッドの重量は2tかそれ以上になると確信している」とか、

「願わくばプラグイン・ハイブリッドではありませんように」といった悲痛な囁きまで……。

スレート・グレー・ネオのボディ・カラーを持つ個体は、カレラGTSクーペ。写真でわかるようにフロント・バンパーの左右に大きく口を開いた各5枚のスリット付エア・インテークを持つのが、新型GTSの特徴だ。その奥には水平のフラップもあり、状況に応じてエア・フローを調節する。ヘッドライトは新デザインのHDマトリックス・ライトになった。

それに対してポルシェが用意した答えは、あくまでパフォーマンスの向上に焦点を絞り、モータースポーツから発想を得た「T-ハイブリッド」という斬新なシステムだった。もちろんプラグインではないし、それどころか、1mmたりとも電気モーターだけで走行することはできない。そういう意味では、正直なところ、CO2の削減にどれだけの効果があるのか、よくわからない。しかし、ひとつだけハッキリしているのは、同じ性能をこれまでの内燃機関だけで出そうとするよりは、遙かに効率的だということだ。そしてそれは同時に、今年50周年を迎えたポルシェのターボの歴史の中での悲願であった、ターボ・ラグを完全に消すことにも繋がっている。まるで自然吸気のエンジンのような、と言いたいところだが、実際に乗ってみればそれともまた違うのがわかる、という話は後でするとして、まずはこのハイブリッドがどういうものなのか、じっくりと見ていくことから始めよう。◆T-ハイブリッド開発で最も難しかったこととは? 911ハイブリッド・システムの詳細に続く!

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ポルシェA.G.



■ポルシェ911カレラGTS
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4553×1852×1296mm
ホイールベース 2450mm
車両重量(DIN) 1595kg
エンジン形式 水平対向6気筒電気モーター付ターボ
排気量 3591cc
ボア×ストローク 97.0×81.0mm
最高出力(システム計) 485ps/6500rpm(541ps)
最大トルク(同上) 570Nm/2000-5500rpm(610Nm)
トランスミッション 8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 245/35ZR20/315/30ZR21
車両本体価格(税込み) 2254万円

■911カレラ
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4542×1852×1302mm
ホイールベース 2450mm
車両重量(DIN) 1520kg
エンジン形式 水平対向6気筒ツインターボ
排気量 2981cc
ボア×ストローク 91.0×76.4mm
最高出力(システム計) 394ps/6500rpm
最大トルク(同上) 450Nm/2000-5000rpm
トランスミッション 8段自動MT(PDK)
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前/後) 235/40ZR19/295/35ZR20
車両本体価格(税込み) 1694万円

(ENGINE2024年9・10月号)

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