身に着ける場所やライフスタイル、好みに合わせて、選択肢の幅がますます広がる腕時計の世界。そんな時計、新時代をリードするトップランナーたちに着目しました。エンジン時計委員会メンバーの時計愛溢れるコメントからは、それぞれの魅力がたっぷり伝わってきて、手に入れたくなること間違いなし。『夏の時計大特集』をどうぞお楽しみください。
“天体ロマン時計”のトップランナー オリエントスターギリシア神話や日本に馴染みの深い星雲や星団がテーマの「Mコレクションズ」の最新作。M45は、おうし座の散開星団「すばる(プレアデス)」だ。
エンジン時計委員 菅原 茂、髙木教雄、野上亜紀の推し!クラシック M45 F7メカニカルムーンフェイズ12時位置にパワーリザーブ表示、6時位置に日付を併せ持つ月齢表示を配置したダイアルは、星団「M45(すばる)」をテーマにして、ダークなグレーグラデーションによって月とすばるが重なる「掩蔽(えんぺい)」を表現。ダイアルのインデックスやケースも黒で統一し、夜空の深淵をさらに強調する。自動巻き(手巻き付き)。ステンレススティール、ケース直径41㎜、5気圧防水。オリエント公式オンラインストア限定60本。33万円。替えストラップ付きプレステージショップ限定140本は34万1000円。『漆黒の天体ショー』 菅原 茂宇宙論を読むのが大好き。人間が天体を観測し、物理法則を考え、理論や仮説でとらえられるのは、宇宙のほんの一部でしかないらしいが、そこに想像をかきたててやまない一種のロマンもあって楽しい。天体ロマンの第一人者といえば日本のオリエントスターだ。時の起源の宇宙に思いを馳せ、夜空を彩る神秘的な星団に託して時計を演出するのだから、これはもうワン&オンリーの世界。グレーのグラデーション・ダイアルで月とすばるが重なる様子を表現するなんてふつうは誰も考えないだろう。開発意図とは違うと思うけど、ダークマター宇宙を見た気がした。『陰の揺らぎを愛でる美意識』 髙木教雄日本人は古来より、澱むような暗がりに幽玄の美を見出してきた。その感性を谷崎潤一郎は、『陰翳礼賛』と表わした。オールブラックの表現は、スイスの時計界にあまたある。しかし本作のような、グレー・ブラック・グラデーションの腕時計は、日本人が古くから受け継ぎ、刷り込まれてきた陰の揺らぎを無意識に気に留める美意識の賜物である。こうした創作が、今まで国産時計で成されて来なかったことが、不思議。水墨画的、というよりも現代アートにより近い印象の外観は、“デザインのオリエント”の、まさに真骨頂である。『主張せず際立つデザイン』 野上亜紀随分前のことだが、レディスモデル界隈で“ムーンフェイズ祭り”とも呼びたい、月齢表示の大流行があった。月の動きに女性が敏感ということや、何よりも月や星の愛らしい意匠が女性用機械式時計のフックとして最適であったからだろうと思う。以降、さまざまな趣向が目につくようになりムーンフェイズはプラスオンの意匠としてのイメージをもつようになった。しかしこのモデルはまさに逆転の発想。型打ちの文字盤が引き立つよう、表示をもモノトーンに溶け込ませた仕立てが実によい。クラシカルでもなく、ロマンティックでもなく。洗練の潔さをこの時計で味わいたい。
問い合わせ=オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380
写真=宇田川 淳
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