2024.08.05

CARS

顔もちょっと違う!? スズキ・ジムニー5ドアをインドネシアのモーターショーでじっくりと観察

インドネシアの国際モーターショー「ガイキンド・インドネシア国際オートショー2024」(GIIAS2024)が、2024年7月18日~28日の期間で開催された。

日本未導入モデルが一杯

インドネシアは、日本の自動車メーカーが、大活躍している市場だ。そのため、様々な日本車が販売されており、日本未導入の車種も多い。その中で、スズキ・ブースで発見したのが、日本でも話題沸騰中の「スズキ・ジムニー5ドア」だ。現地で実車確認をして、気が付いたポイントを紹介しよう。



インド工場から各国に輸出

日本では、3ドアのショート・ボディのみとなる現行型ジムニーだが、2023年1月にインドで、ホイールベースを延長し、5ドア化したジムニー5ドアを発表。その生産と販売が開始された。現在は、インド国内だけでなく、アフリカや中南米、中近東などにも輸出されており、インドネシアも、その輸出国のひとつとなっている。

インドネシアでは、1979年よりジムニーの導入が開始され、時代によっては現地生産がおこなわれたこともある。そのため、インドネシアでの人気は高い。さらに5ドアは、2024年2月15日に発売されたばかりなので、非常に注目されている。スズキ・ブースでは、ボディ・カラーの異なる3台の5ドアが展示されていた。



3ドアよりも34cm長い

インドネシア仕様のボディ・サイズは、全長×全幅×全高=3965×1645×1720mm、ホイールベースが2590mmとなっている。3ドアと比較すると、全幅と全高は共通だが、全長とホイールベースが340mm伸ばすことで、車室空間を広げている。そのスタイルは、3ドアの完成されたデザインの良さを受け継ぎつつ、メルセデス・ベンツGクラスやジープ・ラングラー・アンリミテッドにも負けない、迫力に満ちたものだ。まずはスズキのデザイナーの努力を評価したいと思う。

ロングホイールベース化と後席ドアの追加以外で3ドアと異なるのは、かなりコンパクトになったリア・サイド・ウィンドウ。また、フロント・グリルの5連スロットがクローム仕上げに変更されている。ただし、展示車には3ドアと同じブラック・グリル仕様もあったので、その辺りはオプションで色々と選べるのかもしれない。また、前後バンパーに加え、サイド・プロテクションに、シルバー加飾が備わるものも用意されているようだ。



5ドア最大の魅力

インテリアに目を移すと、前席まわりは、3ドアと全く共通。ADAS(運転支援装置)が非搭載となるので、ルームミラー付近にあるレーダーとカメラがないが、それ以外は日本仕様とも変わらないようだ。

大きく異なるのは、拡大された後席とラゲッジスペース。これこそが3ドアにはない5ドアの大きな魅力といえる。2座となる後席は、ドアの追加と足元スペースの拡大で、乗降性が格段に向上。さらにシートも肉厚なクッションを持つ専用仕様となるため、着座姿勢も楽で、座り心地も良好だ。またリア・タイヤの後席への張り出しの影響も少ないので、シート幅が広い。



大きく立派になったラゲッジスペース

ラゲッジスペースも奥行きが増しており、後席使用時でも219リッターの容量を確保する。ラゲッジ・フロアも後席バックレストも布を用いた上質な仕立てだ。ただしその分、樹脂製の3ドアのように汚れたものを無造作に積むことはできないので、そういう使い方をする人はその対策が必要になる。また、5ドアの後席は、3ドアと同じ50:50の2分割可倒式だが、3ドアのように床面はフルフラットにはならないなど、3ドアと比べると使い勝手に若干の差があるものの、後席の使い勝手と4人乗り時の荷物積載量の広さを鑑みれば、些細な問題といえるだろう。



シエラと同じ1.5リッター

パワーユニットは、日本の「シエラ」同様に、自然吸気仕様の1.5リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載するが、若干スペックが異なり、最高出力104.7ps(77kW)/6000rpm、最大トルク138Nm/4400rpm。トランスミッションは、5段MTと4段ATから選択が可能だ。そして、自慢のパートタイム4WDも搭載するが、彼の地では、これを「ALL GRIP PRO」(オール・グリップ・プロ)と名付け、走破性の高さをアピールしていた。



3ドアとの差は約16万円

現地価格を日本円に換算すると、MT車が約428万円と、AT車が約441万円。ちなみに、3ドアのMT車は約412万円、AT車は425万円。以前、日本市場で150万円強だった「スズキ・バレーノ」の今のインドネシアでの価格が約262万円ということから、ジムニーがかなりの高級車であることが分かる。それでも現地での関心は高い。それを裏付けるように、会場で行われたスズキ車の試乗会で、最も人気があったのが、ジムニー3ドア、それに5ドアが続いたというデータが証明している。

ジムニー5ドアの製造は、インドのグルガオン工場のみであり、そこから世界中に供給をしている。日本でもジムニーの製造は行われているが、輸出仕様を含め、3ドアのみだ。このため、日本導入には、自国生産でも、輸入でも、新たな対応が必要となる。また現状、日本では、ジムニーとジムニー・シエラの長納期が続いており、その解消が優先事項となっているため、導入の話が進まないのもやむを得ないのだろう。

しかし、自動車の価格が高騰し、特に国内外のクロカン・モデルは、もはや手の届きにくい存在となっている。そのなかでジムニーの優れた悪路走破性にSUVのエッセンスを組み合わせたジムニー5ドアは、庶民の味方となる唯一の本格クロカンといっても言い過ぎではないだろう。その登場が、一日も早く実現することを今は願いたい。



文・写真=大音安弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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