2023.04.16

CARS

ジムニー、シエンタ、ミニ・クロスオーバーのユル可愛いクルマ3台の使い勝手をチェック! 自動車評論家の清水草一が趣味の自転車で遊んでみた!!【前篇】

清水草一が愛車の折りたたみ自転車、ジャイアントMR4Fを積んで、ジムニー、シエンタ、ミニ・クロスオーバーの「遊び度」をチェック!

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ジムニー、シエンタ、ミニ・クロスオーバー、国産車2台と輸入車1台の、いわゆるちょっとユル可愛い見た目のクルマたち。そんな3台に、モータージャーナリストの清水草一が“愛機”とともに試乗した。今回はその前篇、日本の遊びクルマの王者、スズキ・ジムニーで遊んでみた。

サイクリングに目覚めたのは10年前

われわれカーマニアは、最大の趣味がクルマなので、「クルマで遊ぶ」と聞くと、ついクルマそのもので遊ぶ=運転を連想してしまう。もちろんクルマでクルマ以外の遊びに行くこともあるけれど、クルマ以外の遊びを、クルマよりも優先することはないので、クルマ以外の遊びを優先してクルマ選びをすることもほとんどなかった。私の場合、その唯一の例外が自転車だ。



サイクリングに目覚めたのは、たかだか10年くらい前。もともと自転車趣味は皆無だったが、そのシロート感覚を買われて(?)自転車専門誌に連載を始めたのがきっかけで、サイクリングの楽しさを知った。

サイクリングと言ってもいろいろあるが、私の場合はごくユルいもので、クルマに自転車を積んで、どこか(道の駅など)へドライブに行き、そこから自転車に乗り換えてそこらを走り、景色を愛でたり史跡巡りをしたりする、というスタイルだ。

クルマは自由の翼だが、速度が速すぎるし、止める場所にも制限がある。対する自転車は適度に速度が遅く、ふと足を止めるのも自由。つまり、クルマに自転車を積めば、自由の翼にさらに翼が加わる! ということに気付いたのである。そんなドライブ&サイクリングに最適なのは、折り畳み自転車だった。

自転車というのは意外と大きく、そのままクルマの中に積むのはけっこう難しい。そちらを優先すると、クルマ選びが大幅に制限されてしまう。自転車を専用ルーフキャリアに積むという手もあるが、空力を大幅に悪化させるのは避けたいし、ルーフ上に大きな物を積めば、万が一にも落としたりしないよう、走りにも気を遣う必要もある。カーマニアとしては、是非とも車内に積みたい。

その点折り畳み自転車なら、大抵のクルマに積める。私の場合、自転車へのこだわりは小さいが、クルマへのこだわりが大きいので、クルマの選択に制限のゆるい折り畳み自転車が、合理的な選択だった。

小型軽量でスポーティ

その結果選んだ自転車が、「ジャイアントMR4F」だ。ロードバイク並みのスピード走行と、折り畳みの利便性を両立させており、可変式エアサスの標準採用により、走りの質感も素晴らしい。クルマに例えれば、スポーツ走行と快適性と居住性を適度に満たしたコンパクト・スポーツハッチ、というところだろうか。

私は「ロードバイク並みのスポーツ走行」などしない(できない)が、デザイン性も加味して、迷わずこれを選んだ。今回は、この10年来の愛機を3台のクルマに積み、クルマで遊ぶ実験を試みることにした。

想像するだけでステキ

最初は、地上最小かつ最強のオフローダー、ジムニーだ。ジムニーの走破性の高さについては、いまさら説明するまでもあるまい。狭い林道では、車体の小ささはダイレクトに走破性の高さにつながる。ランクルだろうがGクラスだろうが、ある意味ジムニーの敵ではない。

試乗車のジムニーは上位グレード“XC”の5段MTモデル。

私はオフロードで遊ぶ趣味が皆無なので、ジムニーの最強ぶりは実質的なメリットにはならないが、無敵のジムニーに乗ることの精神的なアドバンテージは大きい。現行ジムニーは、かつてのジムニーのイメージと異なり、オンロードでの直進性や快適性も決して低くない。エンジンは全車ターボでパワーもあるから、ロングドライブも苦にしない。

ただ、そこに積むべき自転車は、我が愛機ではなく、マウンテンバイクではあるだろう。ジムニーで河原に乗り付けて、マウンテンバイクを引っ張り出して遊び、疲れたらコーヒーを淹れて飲む。想像するだけでステキなライフスタイルだ。ちなみに、マウンテンバイクにも折り畳み可能モデルは存在するという。

清水氏の愛機ジャイアントMR4Fは前輪を取り外し、フレームを縦方向に2つに折り曲げることでコンパクトに畳めるのだが、写真のようにジムニーでは後席を両側とも倒し、最大容量の352リッターにした状態でちょうどピタリと荷室に横向きに収まった。前輪の置き場所などに工夫はいるが、上下に重ねれば2台は十分載せることができる。

ジムニーの室内は決して広くないが、2シーターと割り切って後席を倒してしまえば、四角いボディのおかげで、かなりの荷物を積むことができる。我が愛機もすっぽりと収まった。上に重ねれば、あと1台は行けるだろう。ジムニーというタフギアに、自転車という健康的な乗り物が加わると、それだけで自分の人生が、だいぶステキなものに思えてくるはずだ。

◆トヨタ・シエンタ、ミニ・クロスオーバーの「遊び勝手」は果たしてどうか? 続きは【後篇】で!

文=清水草一 写真=阿部昌也

■スズキ・ジムニー
駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 3395×1475×1725mm
ホイールベース 2250mm
車両重量 1040kg
エンジン形式 水冷直列3気筒DOHCターボ
排気量 658cc
最高出力 64ps/6000rpm
最大トルク 96Nm/3500rpm
トランスミッション 5段MT
サスペンション(前) 3リンク・リジッドアクスル+コイル
       (後) 3リンク・リジッドアクスル+コイル
ブレーキ(前) ディスク
    (後) ドラム
タイヤ(前後) 175/80R16
車両本体価格(税込) 180万4000円

(ENGINE2023年5月号)

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