2024.08.21

CARS

ランボルギーニ・ウラカンの後継車、テメラリオ登場 920psのV8ツインターボ+3モーターのPHEV

2024年8月17日、アウトモビリ・ランボルギーニは、米国カリフォルニア州で開催中のモントレー・カー・ウィーク2024において、新型スーパースポーツカーの「テメラリオ」(Temerario)をワールドプレミアした。

ランボルギーニHPEVの第2弾

テメラリオは、2024年4月に世界10台限定で発売された「ウラカンJST」を最後に、約10年に渡って生産されたV10ミドシップ・スーパースポーツカーの「ウラカン」の後継モデルとなる。2023年4月にデビューしたレヴエルトに続く、プラグイン・ハイブリッド機能を備えたランボルギーニのHPEV(ハイ・パフォーマンス・エレクトリファイド・ビークル)だ。ちなみに、V8ミドシップのランボルギーニは1981〜88年に生産された「ジャルパ」以来となる。



ウラカンよりひと回り拡大

ランボルギーニのデザイン部門であるチェントロ・スティーレでデザインされたテメラリオは、ランボルギーニのデザインDNAの新たなページを開くモデルとして開発された。

全長×全幅×全高=4706×1996×1201mmのテメラリオは、ウラカンEVOの4520×1933×1165mmと比べるとひと回り以上大きくなっている。2658mmのホイールベースもウラカンから38mm伸びている。レヴエルトと比較すると、全長は241mm短く、全幅は37mm狭く、全高は41mm高い。ホイールベースは121mm短い。

テメラリオは、ひと目でランボルギーニと判るシルエットに、デイタイム・ランニング・ライトやサイド・エア・インテーク、テールライト、エグゾースト・エンドなど、車体各部に六角形のモチーフを配して、ランボルギーニらしいスタイルに仕立てられている。エアロダイナミクスも大幅に向上。リアのダウンフォースはウラカンEVO比で103%も増加している。



デジタルとアナログを最適配置

インテリアはデジタルとアナログを最適配置。象徴的なスタート・ボタンやレーシング・カーを想起させるステアリング・ホイールなどに加えて、デジタルスクリーンと各種物理ボタンを組み合わせることで、「パイロット・インタラクション」という体験を可能にする空間となっている。

ドライバー正面には12.3インチのデジタル・インストルメント・クラスター、センターコンソールには8.4インチのインフォテインメント・ディスプレイ、助手席正面には9.1インチのスクリーンを装備。OTA(オーバー・ジ・エア)による地図更新が可能なナビゲーション・システムや、Webラジオや音声アシスタント、ワイヤレス・スマートフォン接続によるApple CarPlayおよびAndroid Auto対応など、多彩でインタラクティブなデジタル体験を可能にしている。



前2基、後1基の3モーター

ハイブリッドのパワートレインは、最高出力800ps/9000-9750rpm、最大トルク730Nm/4000-7000rpmの、3995.2ccの排気量を持つドライサンプ式V8直噴ツインターボに、エンジン・ハウジングに直接組み込んだ150ps(110kW)/300Nmを発揮する電気モーターと、デュアルクラッチ式8段自動MT(DCT)をミドシップに搭載。さらに、フロント・アクスルに総最高出力299ps(220kW、連続出力82ps=60kW)、最大トルク2150Nmを発揮する2基の電気モーターで構成される。システム合計の最高出力は920psだ。

「L411」と呼ばれる新開発V8エンジンは、チタン製コンロッドや180度のフラットプレーン型クランクシャフトを備え、許容最高回転数が10000rpmと超高回転型で、燃料噴射圧は3.5バール、Vバンク内に搭載する2基の大型ターボチャージャーは、最大ブースト圧が2.5バールとなっている。



EV走行も可能

エンジンとトランスミッションの間に備わる後輪駆動用の電気モーターは、低回転から高レスポンスが得られり。そのレスポンスの高さはギアのポジションを問わず一貫しており、変速時に発生するトルクの断絶を埋める「トルク・ギャップ・フィラー」としても機能する。フロントの2基の電気モーターは、必要に応じて駆動とエネルギー回生を行い、電動トルクベクトリング機能も備える。駆動方式は、走行状況に応じてモーターが前輪を駆動するオンデマンド4WDということになる。

リチウムイオン・バッテリーは4WDのウラカンではプロペラシャフトが通っていたセンター・トンネル内に搭載され、3.8kWhの蓄電容量を持つ。充電は家庭用交流電源と、最大7kWの充電システムに対応し、SoC(充電率)が0%の状態から最速30分で満充電が可能。ステアリング・ホイールに備わるロータースイッチで走行モードの「Citta」(チッタ)を選べば、EV走行も可能だ。



ドリフト・モードを設定

走行モードは、「Citta」のほか、「Strada」(ストラーダ)、「Sport」(スポーツ)、「Corsa」(コルサ)と、ESCがオフとなる「Corsa Plus」(コルサ・プラス)を用意。レヴエルト同様、走行モードとは別に、「リチャージ」、「ハイブリッド」、「パフォーマンス」という3つのモードからハイブリッド・システムの制御パターンが選択できる機能も備わる。

また、チェッカーフラッグのボタンを2秒間押すとローンチ・コントロールが作動。さらには「ドリフト」モードも搭載し、ステアリング・ホイール右側の下部ローターを操作すると、ドリフト・アングルを3段階で調整可能となっている。



アルミ製スペースフレーム

ボディは、様々な素材特性や製造方法を組み合わせた複数のアルミニウム素材を組み合わせたマルチテクノロジー・アルミニウムのスペースフレームを採用。多岐にわたる軽量化の結果、車両重量(乾燥重量)は1690kgと、テメラリオと同じ4WDでクーペ・ボディのウラカンEVOからの重量増は250kg強ほどだ。テメラリオのパワー・ウェイト・レシオは1.84kg/ps。0-100km/h加速2.7秒、最高速度343km/h、100-0km/h制動距離32mという、驚異的なパフォーマンスを達成した。

ランボルギーニの公道用モデルとしては初めてサーキット走行を楽しむユーザー向けのオプションとなる「アレジェリータ」(軽量化)パッケージを設定。このオプションを選択すると、CFRPカーボンファイバー強化ポリマー製スプリッターやCFRP製リア・ボンネットなど外装パーツだけで12.65kg、軽量インテリアとカーボン・リムのホイール、チタン・マフラーを装着すれば、25kg以上の軽量化を実現する。同時にリア・ダウンフォースもウラカンEVO比で158%増へとさらに強化される。



サーキット走行用の車載アプリを搭載

サーキット走行用の車載アプリ「Lamborghini Telemetry 2.0」も搭載。世界150以上の有名サーキットの情報を内蔵したこのアプリは、サーキット走行時にコースやラップタイム、セクター情報、タイヤ空気圧、電子制御デバイスの作動位置など、様々な情報を得ることができる。またランボルギーニ・ビジョンユニット(LAVU)システムのカメラを用いて、走行中の様子を録画し、テレメトリーデータと組み合わせてチェックすることも可能。さらにApple Watchを組み合わせて、ドライバーの心拍数も同時に確認できるので、サーキット走行における楽しみ方が大きく広がりそうだ。

また、スマートフォンやApple Watchを介して燃料やバッテリーの残量、航続距離、正確な駐車位置などを常に確認できるほか、ドアのロック/アンロックを遠隔操作できるLamborghini Unicaアプリや、クルマの不正使用を素早く察知し、アプリを介してオーナーに通知するとともにセキュリティ・オペレーション・センターに伝えるランボルギーニ・コネクト・ビークル・トラッキング・システム(LCVTS)も用意するなど、先進的な機能も搭載している。

ランボルギーニは、テメラリオについて「正真正銘のFuoriclasse」(フォリクラッセ)と表現している。フォリクラッセとは、イタリアでは主にサッカー選手のようなアスリートに対して、「並外れた選手」、「超一流の選手」と称賛するときに使用する単語だ。果たしてテメラリオが、どれほどフォリクラッセなのか、もはや楽しみでしかない。



文=竹花寿実

(ENGINE WEBオリジナル)

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