2024.10.20

CARS

ゴルフGTIはボディで曲がる、メガーヌRSはリア・サスペンションで曲がる、ではシビック・タイプRは何で曲がるのか? ホットハッチ頂上決戦 山野哲也が判定を下す!

ホンダ・シビック・タイプR vs ルノー・メガーヌR.S. vs フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

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体育会系のタイプR

佐野 タイプRのアシさばきは、山野さんがいうようにダンパーが本当にいい仕事をしていて、そのフラット感と吸いつくような安定性には、VWやルノー以上に感銘を受けました。「世界一安定して速いFF」の走りは、ニュルなんてまるで無関係の私でも、ビンビンに感じ取れます。

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ホンダ・シビック・タイプRは発売以来、あまりの人気殺到で受注停止中。

山野さんはタイプRがいちばん若々しいといいますが、コンフォートモードでの素晴らしい乗り心地には、逆に大人っぽい印象すら受けます……なんていっている私も、山野さんより少しだけ若いですが、50代半ばの中高年です(笑)。

山野 タイプRは、とにかく速く走るべくジムに通い詰めて、とことん走り込んで、ダンパーという筋肉、そして肺活量=エンジンを徹底的に鍛えた感じが若々しいんです。

佐野 なるほど、タイプRは体育会系というか、部活っぽい。タイプRは項目別でのトップ科目が多くても、ゴルフのボディやディメンション、メガーヌのリア旋回…… といった“極意”めいた味わいには、まだ達していないのかもしれません。

先代型に比べてすっきりと落ち着いたデザインも話題を呼んだが、注目はインテリア。ペダル配置など運転にまつわる部分の配置は身体に馴染みやすく、エアコン・パネルやハザード・ランプなどのスイッチ類はシンプルかつ直感的な操作が可能な物理式。その扱いやすさは今回取材した3台のなかでも随一だ。

山野 エンジン・パワーの本当のピークが訪れる回転域も、ゴルフが一番低い。トルクの絶対値は小さくても、走り出してすぐに力を出します。だから誰にも扱いやすい。その次に大人っぽいのがRSで、体感的には3000rpm台の後半でフルブーストがかかる感じです。最後のタイプRの本領は4000rpm台後半というか、本格的に力を出すのは5000rpm~7000rpmです。タイプRは全速力で走らせてこそ、いちばんの気持ち良さが出ますね。



佐野 私はこれまで、FFのホットハッチをずっと所有してきました。性根がアマノジャクなので、実用品としての効率を求めたクルマを、あえて速く走らせる矛盾めいたところに、ロマンを感じます。

山野 私もその思想は素晴らしいと思いますよ。確かに理屈としては、タイヤの仕事を操舵と駆動に分けた方がバランスがいいとされています。ただ、フロント・タイヤに負担が集中するFFを速く気持ちよく走らせようとすると、じつは重要となるのがリア・タイヤなんです。そこに目をつけたのがルノーの4コントロール。そういう学者肌のところも、RSは大学生っぽさを感じさせます。

佐野 先代から現行のタイプRの開発責任者を務めた柿沼さんも、似たようなことをおっしゃっていました。タイプRはそのために、優秀な可変ダンパーだけでなく、マルチリンクという凝ったリア・サスペンションと大きなリアスポイラーでリアグリップを確保しているそうです。



山野 老獪なVW、研究熱心なルノーに対して、ホンダは体育会系。こうして3台を比べると、タイプRの真骨頂はこれからでしょう。今のままブレずに熟成していけば、さらに深い味わいが出てくると思います。

佐野 ホットハッチ道はまだまだ続くということですかね? メガーヌRSは終わっちゃいますけど、ゴルフGTIとシビック・タイプRには次もあってほしい!

語る人=山野哲也、佐野弘宗(まとめも) 写真=郡 大二郎

■ホンダ・シビック・タイプR
駆動方式 エンジン・フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高 4595×1890×1405mm
ホイールベース 2735mm
車両重量 1430kg
トレッド(前/後) 1625/1615mm
エンジン型式 水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1995cc
最高出力 330ps/6500rpm
最大トルク 420Nm/2600-4000rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤサイズ(前後) 265/30R19
車両本体価格(税込) 499万7300円

■ルノー・メガーヌR.S.ウルティムEDC
駆動方式 エンジン・フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高 4410×1875×1465mm
ホイールベース 2670mm
車両重量 1470kg
トレッド(前/後) 1620/1600mm
エンジン型式 水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1798cc
最高出力 300ps/6000rpm
最大トルク 420Nm/3200rpm
トランスミッション 6段ツイン・クラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) トーションビーム/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤサイズ(前後) 245/35R19
車両本体価格(税込) 659万円

■フォルクスワーゲン・ゴルフGTI
駆動方式 エンジン・フロント横置き前輪駆動
全長×全幅×全高 4295×1790×1465mm
ホイールベース 2620mm
車両重量 1430kg
トレッド(前/後) 1535mm
エンジン型式 水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量 1984cc
最高出力 245ps/5000-6500rpm
最大トルク 370Nm/1600-4300rpm
トランスミッション 7段ツイン・クラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク(前後)
タイヤサイズ(前後) 235/35R19
車両本体価格(税込) 525万円

(ENGINE2024年11月号)

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