2024.11.13

CARS

公道でV12サウンドを堪能するのは無理なのか!? ランボルギーニの新旗艦、レヴエルトに一般道で試乗! あきらめて大人しく走るしかなかったその理由とは?

ランボルギーニ・レヴエルト、一般公道試乗記!

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すでにサーキットでの国内試乗記をお届けしたレヴエルトだが、ようやくナンバーがつき、公道で試乗するチャンスが巡ってきた。1015馬力のハイブリッド・スーパーカーの公道での走りはどうか。エンジン編集部のムラカミがリポートする。

一般道で乗ってわかったこと

ローマのヴァレルンガ・サーキットで開かれた国際試乗会にも、日本の富士スピードウェイで開かれた国内試乗会にも参加するチャンスが巡ってこなかったので、レヴエルトに乗るのは今回が初めてだった。



すでに絶讃記事がたくさん出ていたので、期待が大きく膨らみ過ぎていたのかも知れない。今回、一般道で乗って良く分かったのは、この1015psのハイブリッド・スーパーカーの走りを堪能するにはサーキットが不可欠で、一般道を走っている限り、その持てる魅力の恐らく3分の1も知ることができないということだった。

シザース・ドアを開けて乗り込むと、ジェット戦闘機を模したデザインのコクピットが目の前に飛び込んでくる。

宙に浮いたようなデザインの縦型センター・ディスプレイが印象的なコクピット。運転席の前のメーター・パネルもむろん液晶。

センターコンソール上の赤い蓋を開けて、その下にあるスタート・スイッチを押す。しかし、V12気筒エンジンの咆哮は聞こえない。そのまま「チッタ(シティ)・モード」で走っている限りは、フロントの2基のモーターだけで電池が無くなるまで走り続けるようになっている。

ゴージャスなバケットシートの裏には、荷物を置くスペースも。

問題なのはその時の音で、とにかくウルサイのだ。ヒューンという電子音はともかく、太いタイヤが上げるロード・ノイズや、どこから発生しているのかカチャカチャというメカニカル・ノイズがずっと室内に響きわたっている。

これまで静かなEVばかり体験してきたせいかもしれないが、この荒々しさにはちょっとビックリで、こりゃ「ワイルド・ハイブリッドだな」と思わずつまらない駄洒落まで口にしてしまった。

ステアリング上の赤と黒のダイヤルで走行モードを選ぶ。

これでは面白くないので、ステアリング上のダイヤルでモードをストラーダに切り換えて、エンジンを始動させる。背後からブフォーンという雄叫びが聞えて、ワオーついにきたきたと思ったのも束の間、すぐに回転数が下がると、ほとんどエンジン・サウンドが聞えてこないくらいに大人しくなってしまったのだ。

一般道を制限速度で走っている限りでは、なんとも存在感の薄いエンジンである。



アクセレレーターを少し踏んだくらいでは、先にフロントの電気モーターが働いてしまうので、ほとんどエンジンの出番はない。さらに踏み込んでスピードを上げても、今度は8段自動MTがギアを上げてしまうから回転数は上がらず、V12サウンドを堪能するには至らない。

スーパーカーの効用

こうなったらスポーツ・モードに入れ、パドルを使ってシフト・ダウンして何がなんでも回転数を上げて雄叫びを聞いてやろうと、こっちも熱くなってくる。



どうやら6000回転を超えたあたりから、一気に音が高まり、いかにもランボルギーニらしい野太いサウンドが響き始めることはわかったが、なにしろ高速道路上でさえ1速まで落とさないとそこまで回せないのだから、とてもではないが9500回転のレブリミット近くまで使って、V12サウンドを堪能することなど無理な話である。

あきらめて大人しく走ることにした。

エンジンが掛かっていても、ヒューンという電子音がずっと聞えてくるし、相変わらずメカニカル・ノイズやロード・ノイズがうるさい。一般道を走っている限り、エンジン・サウンドよりもこうしたノイズを大きく聞き続けることになるだろう。



あの絶讃の声はすべてサーキットで全開の走りを体験した人たちのものであったことを思うと、やっぱり猛牛はそれにふさわしい場でなければ本当の姿をかいま見ることさえできないのだと、それを見た幸運な人たちを羨むしかなかった。

とはいえ、スーパーカーの効用は走りだけではない。この誰がどう見ても尋常とは思えないカッコウをしたエヴァンゲリオンに出てきそうな紫色のマシンが、どれだけ人々の注目を集めたことか。



走っていても止まっていても、視線を感じないことはなかった。駐車していると、すぐに人がやってきて、最初は遠巻きに、けれど徐々に近づいてきて、これはなんというクルマか、写真をとってもいいか、いったいいくら位するのか、などと訊いてくる。

むろん、そういう時には、ニッコリ笑ってなんでも丁寧に答えるのが、こういうクルマに乗る人の責務だと私は思っている。そこに在るだけで、乗る人も見る人も幸福にするのがスーパーカーの最大の効用だと私は考えるのだ。レヴエルトはそういうクルマだった。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=望月浩彦

■ランボルギーニ・レヴエルト
駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン+電気モーター4WD
全長×全幅×全高 4947×2033×1160mm
ホイールベース 2779mm
車両重量(車検証) 1980kg(前軸870kg、後軸1110kg)
パワートレイン形式 V型12気筒DOHC+前2、後1電気モーター
排気量/ボア×ストローク 6499cc/95.0×76.4mm
最高出力(モーター) 825ps/9250rpm(前300ps、後150ps)
システム総合最高出力 1015ps
最大トルク(モーター) 725Nm/6750rpm(前350Nm、後150Nm)
トランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MT
サスペンション(前後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式カーボンセラミック・ディスク
タイヤ (前)265/30ZRF21、(後)355/25ZRF22
車両本体価格 約6000万円(税別)~

(ENGINE2024年12月号)

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