2024.12.09

CARS

ホンダWR-Vとどう違う? スズキの新しいBセグメントSUV、フロンクスに自動車評論家の森口将之が試乗!

エスクードの後継としてスモールSUV市場を任されることになったインド生まれのフロンクス。

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エスクードが終了して以来、スズキで空白になっていた、スモールSUV市場を任されることになったインド生まれのフロンクス。同じインド製のホンダWR-Vなど強者揃いの激戦区で、どんな戦いを見せるか? モータージャーナリストの森口将之がリポートする。

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ライバルはホンダWR-V

スズキと言えばインドで成功しているメーカーとして有名だ。しかし日本で販売されたインド製車両は、これまでバレーノのみ。個人的に高く評価していたコンパクト・カーで、インドでは今も売れているそうだが、日本では2020年に販売を終了してしまった。



なので、同じBセグメントのSUVであるフロンクスをインドから導入したのは、バレーノ時代の仕切り直しという気持ちがあるだろうし、同じインドから輸入されて好評なホンダWR-Vへの対抗という意味も含まれていそうだ。

実車を前にすると、全高1550mmということもあって、低くスマートに見える。メーカーの主張どおり、これはクーペ・スタイルSUVだ。一方で全長4m未満とコンパクトながら、フロント・グリルのクロームメッキのアクセントや二段階のフェンダー・フレアが効いていて、サイズ以上の存在感がある。



それでいてタイヤを195/60R16と、良識的なサイズとしているところがスズキらしい。プレゼンテーションでは最適化を考えた結果だと言っていた。

インド製ということで気になる人がいるかもしれないクオリティは、問題ないという感想だ。同じ国からやってきたWR-Vにも言えることだが、最近はどこで作っているかがわからないぐらい、品質は均一に近づいている。





唯一輸入車っぽいのがバリエーションで、グレードはなく2WDと4WDの選択肢しかない。エンジンはいずれも1.5リッターのマイルド・ハイブリッドで、6段ATを組み合わせている。エンジニアの話によれば、CVTにしなかった理由はトルク容量が関係しているらしい。

正確なハンドリング

最初に乗った2WDは、発進直後から十分な力強さで、随所でモーターアシストが効いていることを実感する。トルコンATということでCVTのように不意に回転が上がったりすることはなく、クルージングではかなり静かだった。



プレゼンテーションでは前後で会話できるキャビンを目指したと話していた。この点が残念だったバレーノの反省もあっての言葉だったのかもしれないが、目標はおおむね達成していると思った。

3000rpmを超えたあたりからは音が大きくなるものの、高周波は抑えたというエンジニアの言葉どおり、低音主体のちょっと懐かしいサウンドで、あまり気にならないタイプだった。

ATは最近のトルコン式の中では変速の感触を伝えがちであるが、ギアを変えて走っている実感があると好意的に捉える人もいるだろう。そのあとに乗った4WDは、60kgの重量増が影響して、加速はちょっとおっとりしていた。



乗り心地はタウンスピードではやや硬めだ。シートの座面が柔らかめなので、長くドライブしていると腰に負担がくるかもしれない。ただし60km/hぐらいまでスピードを上げると、上下動が気にならなくなってくる。

4WDは日本独自の仕様ということで、プロペラシャフトにダンパー、リア・サスペンションに防振ゴムを入れ、ボディ側も共振抑制の対策を施している。これに重量増も味方して、2WDよりは若干角の取れた乗り味に感じられた。

2WDのハンドリングは正確で、キビキビというわけではないものの、思ったとおりの軌跡をトレースしていく。4WDシステムはビスカスカップリングを用いたシンプルな方式でありながら、さらに曲がりやすいと感じた。

装備面では全車速対応のアダプティブ・クルーズコントロールやスマートフォンのワイヤレス充電なども用意してあり、センターディスプレイの表示はスイフトなどと共通であるなど、細部まで日本最適化が抜かりないという印象だ。

同じインド生まれのコンパクトSUVを走り味で比較すると、やる気のフロンクス、癒しのWR-Vとなるだろうか。個人的には後者のおおらかさ、道具っぽさにも惹かれるが、コンパクトでスポーティなフロンクスを好むユーザーは多いのではないだろうか。

文=森口将之 写真=茂呂幸正

■スズキ・フロンクス
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 3995×1765×1550mm
ホイールベース 2520mm
トレッド 前/後 1520/1530mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1070kg(前680/後390kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V+モーター
総排気量 1460cc
ボア×ストローク 74.0×84.9mm
最高出力 エンジン(モーター) 101ps/6000rpm(3.1ps/800-1500rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 135Nm/4400rpm(60Nm/100rpm)
変速機 6段AT
サスペンション形式 前/後 マクファーソン・ストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 195/60R16 89H
車両価格(税込) 254万1000円

(ENGINE2025年1月号)

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