2025.01.06

CARS

内燃エンジンが“生き残った”だけで嬉しい! クーパーを車名に掲げた新型ミニに5ドアが追加 モータージャーナリストの藤原よしおが試乗! 

内燃エンジンを搭載したミニ・クーパーSに試乗。

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EVモデルもラインアップに加わった3ドアに続き、5ドアも4代目に進化。3ドアよりも長いボディと後部ドアによる高い利便性はそのままに、ひと目でミニとわかる新しい外観とクラスを超えた質感を備えた内装を手に入れた。モータージャーナリストの藤原よしおがリポートする。

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斬新なインテリア

10年ぶりにフルモデルチェンジを果たした4代目ミニ最大のトピックといえば、ようやく日本市場に3ドアの電気自動車(BEV)モデルが導入されたことだが、このたび併売されているICE(内燃機関)モデルに新たに5ドアが加わった。

クーパーを車名に掲げた新型ミニに5ドアが追加された。

機械的な中身は基本的にICEの3ドアと同じで、ラインナップは1.5リッター直3ターボを搭載するミニ・クーパーCと、2リッター直4ターボを搭載するミニ・クーパーSの2種類。いずれも変速機はデュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)となる。



BEVモデルのデザインに近づいたボディは全長で5mm短く、全幅で20mm大きく、全高で25mm高くなっているものの、実際のサイズ感は先代と変わらず。プラットフォームは先代をアップデートしたもので、ホイールベースも2565mmと変わっていない。

質感、高級感がグッと増したインテリア。「ヘイ、ミニ」と話しかけると起動する音声アシスタントや各種運転支援システムも充実している。

それよりも目を引くのが、運転席前のメーターパネルを廃して、情報をヘッドアップ・ディスプレイと直径240mmの有機ELセンター・ディスプレイに集約したコクピットだ。昨今の風潮に倣ってクローム・パーツやレザーを止め、リサイクル・ポリエステルやリサイクル・アルミニウムなど、サステナブルな素材を多用したインテリアは、想像以上に雰囲気が変わっていて新鮮。しかも質感、手触り、仕立ても良いうえに明るくなったおかげで、遥かに高級感が増している。



動的、静的ともに質感が向上

今回試乗したのは、最高出力204ps/5000rpm、最大トルク300Nm/1450-4500rpmを発生する2リッターターボのクーパーS。内外装の雰囲気は変わっても、基本的な乗り味は先代と同じ……と思っていたのだが、動き出しでまず驚いたのが、「あれ? ディーゼルだったっけ?」と思うほど、モリモリとしたトルク感に溢れていたことだ。

そのままアクセル・ペダルを踏み込んでいくと、圧倒的なパワー差こそないものの、出足や加速の伸びなど、記憶の中にある先代のクーパーSよりも全体にゆとりが生まれたように感じられる。



そこで改めてスペックシートを見てみると、新型はパワーで12ps、トルクで20Nmのアップを果たしている。ただその反面、車重も60kg増加しているので、アップ分が相殺されていてもおかしくはないのだが、そう感じさせるもう1つの要因に7段DCTの進化もありそうだ。というのも、最初の駆動の繋がり方から変速のタイミング、ショックなど、すべてがより熟成されているようで、パワーデリバリーに澱みがないのだ。

その一方でいわゆる“ゴーカート・フィーリング”と呼ばれるクイックなステアリング・レスポンスと脚まわりの仕立ては相変わらず。せっかくパワー・デリバリーが上質になったのだから、もう少し落ち着いた乗り味にしても良いのでは?

と思うところだが、そこだけは「ミニ」の本懐として譲れない、ということなのだろう。

いずれにしろ5ドアのプレミアム・コンパクトカーの雄であるミニ5ドアがICEモデルとして“生き残った”だけでなく、新型になってより動的、静的質感が向上したことは、素直に歓迎すべきことだと思う。

文=藤原よしお 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年2・3月号)

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