創立60周年の節目となる2025年をもって、「アルピナ」ブランドをBMWに譲渡するBMWアルピナ。彼らの終焉を飾る最後の限定車、「B8 GT」が発表された。このモデルは世界99台の限定生産で、日本導入台数は30台となる。
アルピナ史上最強エンジンを搭載BMW8シリーズ・グランクーペをベースとするB8 GT。エンジンは、5シリーズ・ベースのB5 GTにも搭載された4.4リッターV8ツインターボで、634ps/850Nmというスペックは、従来のB8に対して13ps/50Nmのアップが図られている。吸気系の効率向上や、エンジン・マネジメントとブースト圧を見直したことで実現したこの出力は、アルピナ史上もっとも強力だという。
シャシーもブラッシュアップトランスミッションはZF製8段ATで、駆動方式はトルク配分をよりリア寄りとした4WD。改良型の電子制御デフとローンチ・コントロールを装備し、0-100km/h加速は3.3秒、0-200km/h加速は10.5秒、最高速度は330km/hに達する。
シャシーは、サスペンションの再セッティングと、高めたフロントの剛性を高めるドーム・バルクヘッド・ストラットの追加で、ステアリング・レスポンスと精度を向上。ホイールは鍛造21インチで、アルミニウムサテン仕上げが施され、アルミ削り出しのセンターキャップが装着された。さらに、他モデルではオプション設定となる高性能ブレーキ・システムが標準装備される。
20台限定の専用2トーンを設定エクステリアは、フロント・バンパーのエア・ダクトやサイド・ダイブプレーン、エア・ブリーザーのトリム、リア・ディフューザーをカーボンで新造。BピラーにはB8 GTのロゴが配される。ボディ・カラーは標準仕様のアルピナ・ブルーとアルピナ・グリーンに加え5色のほかに、20台限定の2トーンを設定。アルピナ・デコセットは、カーボンメタリック・カラーとなる。
インテリアは、ウォールナット・アンソラサイトのウッド・トリムや、4種類から選べるレザー・シートを採用。シート・センターはアルカンターラで、2023年にこの世を去った創業者であるブルカルト・ボーフェンジーペン氏のサインが刺繍されている。ドアシル・プレートやドリンクホルダーのリッドにも、ブルカルト氏のサインが記される。
シルバーのアルミニウム製シフト・パドルや、アルカンターラのヘッドライナーも専用装備。センターコンソールとエンジン・ルームにはステンレスのシリアル・プレート、キャビン・フロアとラゲッジ・スペースのマットはB8 GTのメタル・エンブレムが取り付られた。
限定のクロノグラフも用意このほか専用アイテムとして、スイスの時計・宝飾店であるカール・F・ブヘラと共同開発した車両の販売台数と同数となる99本限定のクロノグラフや、黒いラヴァリナ・レザーで仕立てた2つのウィークエンダー・バックが用意される。このバッグとキーなどを収納する木製の納車ボックスには、ブルカルト氏のサインと車両番号を刻んだステンレスのプラークが付属する。
価格は左ハンドルが3495万円、右ハンドルが3540万円となっている。

文=関 耕一郎
(ENGINE WEBオリジナル)