年間販売台数約800万台、世界第3位の自動車メーカーの誕生かと思われたが、残念ながら、経営統合に向けて協議が破談に終わりそうな本田技研工業(ホンダ)と日産自動車(日産)。経営状態の悪いに日産に注目が集まっているが、一方のホンダの行く末はどうなるのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏がホンダの未来を考察する。
5年間で約3分の2に日産との統合話がなくなったホンダは今後どうなる? 客観的に見たらホンダも厳しい。新型コロナ前の2019年の世界販売台数は518万台。2024年といえば381万台。評判悪かった八郷さんと三部さんのリレーで150万台も落としている。大ざっぱに言って3分の2になった。現在進行形で韓国や中国にシェアを奪われており、歯止め掛からず。
「じり貧の状態で次世代の電子プラットフォーム開発をするのは厳しい」という理由で日産との提携を模索していた。統合話の破談後も電子プラットフォーム開発は続ける方向らしいけれど、こんな関係になったら難しいと思う。ホンダも日産も技術者はプライドを持っている。折り合わないと話が進まない電子プラットフォームなんか無理。
財政は今のところ盤石さて、ホンダの財政は今のところ盤石である。本田宗一郎さんという「お金儲けより良い物作り!」みたいな創始者を持つため、宗一郎さんの番頭さん役だった藤沢さんは財政基盤をしっかり整えることに苦心した。そんなことから藤沢さんの意思を引き継ぐ人も育っており、バブル経済破綻時もリーマンショックも赤字になっていない。
とはいえ5年で150万台も売れ行きを落としていることを考えたら、5年後はどうか解らない。ホンダだってこのままだと厳しい状況が待っている。しかも三部さんの経営判断を見ると少しばかり怪しい。GMとの自動運転協業は失敗。ソニー・ホンダ・モビリティも順調と言えない。プランBを持たない電気自動車戦略だっていかがなものか、と。
財政地盤の良いうちにどうにかしなければならないことは間違いない。もちろん日産との協業は良い結果を生まなかったことだろう。そもそも互換関係にないからだ。ストロング・ポイントは両社ともにアメリカ。売れ筋のボディ・サイズだって同じ。プラットフォームの共用化などすすめたらステランティスのように共食いして台数を落とす。
魅力のあるクルマ作りができるかどうかホンダはトヨタのように、ヒョンデやBYDより魅力のあるクルマ作りをしなければならない。それができるかとなれば、三部体制のままだと厳しいだろう。例えばクルマ作りの方向性。ホンダのデザインは三部さんと非常に仲の良い南さんが決めている。南さん、低くてワイドなクルマ好き。
ホンダがアメリカで勝負に出る「ホンダ0」のセダン・タイプ、「0サルーン」はランボルギーニみたいだ。ガヤルドを4ドアにした感じ。説明するまでもなく、アメリカはSUVの国になった。もはや背の低いセダンのマーケットなどない。つまりクルマという商品を全く理解していない人がホンダのTOPにいるワケ。現在のホンダ車、ヴェゼルを除き全て南さんの好みです。
ホンダもクルマ作りの方向性を見直す必要がある。ホンダの社長人気は6年程度。2021年に社長になった三部さんは通常なら2027年まで続けるのだけれど、ホンダ社員に聞くと皆さんネガティブな意見多数。日産との統合話だって責任感なさ過ぎると思わないだろうか。1日でも早く”自動車”を熟知しているTOPにバトンタッチすべきだと思う。
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文=国沢光宏
(ENGINE WEBオリジナル)