2025.02.17

CARS

「さすがですね!」 ホンダの日産との経営統合中止会見で、なぜ国沢光宏氏(モータージャーナリスト)はそう思ったのか

昨年末に突如表面化した本田技研工業(ホンダ)と日産自動車(日産)の経営統合。その前段階として協議開始の覚書を交わしてから2か月も経たない2024年2月13日、両社連名で協議の中止が発表された。それに伴い、ホンダと日産がそれぞれ別に会見を実施。ホンダは三部社長ひとりで登壇し、その経緯や思いを語った。その会見を見たモータージャーナリストの国沢光宏さんはどのように感じ、何を思ったのだろうか。

advertisement


ほかの会社の出来事みたい

ホンダと日産の併合話がご破算になった件で2025年2月13日の夕方から三部社長の記者会見となったのだけれど、話を聞いていて「さすがですね!」と思った。もちろん良い意味じゃありません。ほかの会社の出来事みたいな説明なのだった。責任感なし。社内の支持など得られるワケありません。なかでも決定的だったのは「経産省からの働きかけで日産との併合を考えたのか?」という質問に対する返答。



大きい企業のTOPとしてはありえない

その通りだったとしても肯定はできないビーンボールのような意地の悪い質問なので「ご想像にお任せします」でよかったと思う。なのに三部さんは経産省の関与を完全否定し、自分と内田さんで決めたと答えた。驚いた! 考えられない! だって併合話の発表は12月23日です。大騒ぎになったことは記憶に新しい。この話で自分の生活が変わる人だってたくさんいる。

本来なら発表前に詳細まで詰めた打ち合わせをしなければならない規模の事案です。なのに三部さんは「私と内田さんで話をすすめた」。おいおい! ジジイが飲み屋で意気投合して決めたのと同じレベルか? 会社に持ち帰ったらみんなから否定されたのでご破算にします、みたいな流れです。ホンダという大きい企業のTOPとしてはありえないと私は考える。



抜本的な改革が必要

この業界を45年くらい見てきているが、軽い! 軽すぎる! 三部さんも内田さんも経営者としての体をなしていない。当然ながらそこまで無能だとは思えないから、経産省が甘い話を三部さんにしたことだろう。日産の場合、前回の破綻の危機も経産省が間に入ってルノーと引き合わせた。今回はノータッチということの方があり得ない。実際、日産の破綻をルノーに救われた。経産省のファインプレーです。

今回も破談のウワサが出るや、なぜか&即座に経産大臣が「考え直すことを希望する」というコメントを出している。されど三部さんは完全否定。三部さんがウソつきなのか、そこらの酔っ払いジイサンと同じ無責任な人なのか判断する術はない。ただ後日、経産省の働きかけだという話がリークされたら、三部さんはメディアの前でウソをついた人になってしまう。

これ以外も三部さんの答弁は「わからなかった」「想定できなかった」という逃げ口上ばっかり。合弁話は企業にとって最も大きな決断を必要とする。1か月半で破談になるような無責任さはホンダにとっても大きなダメージになることだろう。考えてみたらホンダも過去5年間で世界販売台数を150万台も落としている。抜本的な改革が必要だと思う。三部さんに舵取りはできるのか?



文=国沢光宏

(ENGINE WEBオリジナル)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement