エンジン編集部唯一の20代ムラヤマが担当する連載『若者だってクルマ好き!』。休みの日には、学生時代の友達4人で出かけるのがお決まりだという千葉さんの初めての愛車は、2017年型ミニ・クロスオーバー。彼女はどうして、ちょっと大きなミニを選んだのだろうか。
冷たい雨が降り続く河川敷の駐車場で待っていると、ミニ・クロスオーバーが颯爽とやってきた。クロスオーバーは都会的な雰囲気にも合うスタイリッシュなSUVだけれど、やはりアクティブなシーンでこそ、このクルマは逞しく見えると思った。運転席から降り立ったのは、クルマとは対照的に華奢な女性だ。埼玉県に住む25歳の幼稚園教諭、千葉百恵さんにとって初めての愛車だという。

「もともとクルマがすごく好き、というわけではなかったんです。でも、漠然と、大人になったら自分のクルマが欲しいなと以前から思っていました。学生の間は安定した収入がないから、働き始めたら買おう! と決めていたんです」
千葉さんは大学2年生で運転免許を取得し、卒業までの間は実家のクルマで運転を楽しんでいたという。2022年3月。大学を卒業し、いよいよ本格的にクルマ探しを始めた千葉さんだが、当初はかなり保守的だったそうだ。

「家のクルマはトヨタ・シエンタでした。シエンタの運転には慣れていたのもあり、最初に買うクルマはコンパクトな国産車が良いと思っていました。維持するのも運転するのもその方が安心する気がしたんです」
ところが中古車検索サイトや自動車メーカーのホームページを片っ端からチェックするようになり、考えが少しずつ変わったのだという。

「はじめに候補にしていた国産のコンパクト車でも、中古で100万円くらいは必要だというのがちょっと予想外で。他のクルマの相場もだんだん分かるようになってくると“これに100万円?”と思うようになってしまいました。私にとっては大きな買い物だから、妥協せずに本当に気に入ったものが欲しいな、と」

そうして調べ続けていくうちに、千葉さんの目に留まったのがミニ・クロスオーバーだった。一人で店に行くのは不安だからと、フィアット500Cに乗る一番の親友を連れて現車確認に足を運んだ。
「はじめは初代のクロスオーバーを買うつもりでした。白ボディに黒のアクセントが入ったパンダみたいな色の組み合わせも良いなと思っていて。でも、その隣に並んでいたのが2代目のこの子だったんです! 内外装のデザインも、配色も、こっちの方が私の好みで一目惚れしました。チェスナット・ブラウンという色に白色のストライプと屋根の組み合わせがとっても可愛くて。他の個体はほとんど黒とのツートーンなんです」

しかしその価格は、パンダ色の初代に比べてさらに100万円も高い。その日は2台の見積もりを持ち帰り、1ヶ月半、悩み続けたそうだ。妥協はしたくない、という千葉さんが出した答えはチェスナット・ブラウンの2代目を買うこと。一点モノの中古車だが、幸いまだ店に残っていた。
「どちらにしても大きな買い物に変わりないから、後悔しないように奮発しました。5年ローンで買ったので、折り返したところです」

希望ナンバーの「32」には、車名のミニはもちろん、千葉さんが大好きというミニーマウスの語呂のほか、14歳を迎える愛犬、チョコちゃん(チワワ)の誕生日、3月2日の意味が込められているのだという。