東日本大震災から今年で14年。南海トラフ地震や首都直下地震など、発生する可能性が高いとされている大規模地震への備えはできているだろうか。また、地震だけでなく、大雨や洪水、道路の陥没など、自然災害や予期せぬ事故などの危険性も高い近年では、クルマの備えも重要と言えるだろう。運転中に地震が発生した際の対応と、災害の備えとしてクルマを利用する方法を解説する。
運転中に地震が発生したら?
運転中に地震が発生した際、どのように対応すればよいか正しく理解している人もいるかもしれないが、改めて、運転中に地震が発生したときの対応を確認しておこう。
1.急操作を避け、道路の左側にクルマを寄せて停車する
2.クルマを停車させたら、ラジオなどで地震情報や交通情報などを収集する
地震が発生したら一旦クルマを停めて情報収集をする。その後、運転を再開する場合は、道路の損壊や信号機の停止、残留物などに十分注意する必要がある。
クルマを置いて避難する場合のルール
クルマを置いて避難する場合は、基本はクルマを道路外に移動させること。やむを得ず路上にクルマを置いていく場合は、道路の左側にクルマを寄せて駐車し、窓を閉め、キーを残した状態で、ドアロックをせずに置いておくこととなる。ただし、このときに避難する人の通行や災害対応の妨げとなるような場所に駐車しないよう注意が必要だ。
では、もし津波が発生し、到達までの時間がわずかな場合、クルマを使って逃げてもよいのだろうか?
津波からの避難、クルマを使うべきか?
原則として、地震発生時にはクルマを使わずに避難することが推奨されている。しかし、地震発生後すぐに津波が到達すると予測され、高台まで徒歩では間に合わない場合は、クルマを使って逃げるのもひとつだ。
ただし、津波から逃げるためにクルマを使うときは、道路の損壊、信号機の停止、道路上の障害物などに注意しながら運転しなければならない。
災害に備えたクルマの防災対策
クルマは、避難時の移動手段としてだけでなく、一時的な避難場所や電源としても活用できる。しかし、避難中に冠水路に侵入してしまったり、道路が陥没したりするなど、予期せぬ災害に遭ってしまう可能性もある。そこで重要となるのが、日ごろからのクルマの備えだ。
さまざまな災害に対応できるよう、今からできるクルマの備えを紹介しよう。
■燃料を常に満タンに近い状態で維持
地震が発生したときは、渋滞が発生しやすくなるだけでなく、信号機の停止や道路上の障害物などにより、交通麻痺が発生する可能性が高い。普段であれば短時間で通過できる場所でも何時間もかかることもある。また、津波からの避難にクルマを使う際、燃料の残量が少ないと逃げきれない可能性もでてくる。
クルマの燃料は常に半分以上を維持しておくようにすると安心だ。実際に、東日本大震災を経験した方の中には、クルマの燃料が半分になったら満タン給油している人もいる。

■脱出ハンマーを備える
脱出ハンマーは、冠水路でクルマが動かなくなってしまったときに使えるアイテムだ。よくあるのがアンダーパスを通過する際に冠水していることに気づかずに侵入してしまい、クルマが冠水し、エンジンが停止してしまうという事態だ。エンジンが停止すると、当然のことながらパワーウィンドウは使えなくなる。
脱出ハンマーの中には、シートベルトカッターが付属しているものもある。もしものときのために、シートベルトカッター付きの脱出ハンマーを備えておくとよいだろう。また、脱出ハンマーは、運転席のシートベルトをしている状態で手が届く範囲に保管するようにしよう。

■笛を準備する
万が一、クルマの中や倒壊した建物の下に取り残された場合、そのときに役立つのが笛だ。
助けを呼べなければ生存確率は下がってしまうが、笛は大きな音で自分の居場所を伝えたり、助けを呼ぶのに最適だ。脱出ハンマーと同様、運転席から手が届く範囲に保管しよう。

■軍手を用意する
軍手は、避難時のがれきや脱出ハンマーで窓ガラスを割った際のガラス片から手を守ってくれる。これも運転席から手が届く範囲に置いておくとよい。

クルマに電源を常備しておきたい場合の方法
災害時こそ、電源の確保は死活問題。クルマに電源を常備しておきたいと考える方もいるだろう。
しかし、バッテリーはクルマに載せておくと、発火する恐れがあるため危険だ。外部給電システムを装備しているハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカーであれば、燃料さえ確保できれば電気を作り出すことができる。
クルマを電源として利用したいのであれば、それらの導入を検討してみてるのもよいだろう。
いつ発生するかわからないからこそ見直したいクルマの備え
科学技術が進歩した現代でも、いつどこで発生するか予測不可能な大規模地震。もしかしたら、クルマの運転中や外出先で被災するかもしれない。大切なのは、いつ地震が発生しても困らないよう備えておくということ。
この記事で紹介した地震発生時の対応や、クルマの防災対策について確認し、自分や家族を守るための備えを進めてほしい。
この機会に、クルマの防災対策を見直してみてはいかがだろうか。

文=齊藤優太
(ENGINE Webオリジナル)