2025.03.23

CARS

「国産ミニバンを凌駕している!」シトロエン・ベルランゴに試乗したミニバン乗りのレーシングドライバー、松田秀士はこう叫んだ!

シトロエン・ベルランゴ・マックス/1.5リッター直4ディーゼル・ターボは最高出力130ps/3750rpm、最大トルク300Nm/1750rpmを発生、8段ATを介し、前輪を駆動する。全長×全幅×全高=4405×1805×1830mm。ホイールベース=2785mm。車重=1600kg。

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今年もやりました2025年版「エンジン・ガイシャ大試乗会」。大磯プリンスホテルの大駐車場に集めた注目の総勢33台の輸入車にモータージャーナリスト33人が試乗! 世界の自動車業界が大変革期の真っ只中にある今、各メーカーがこの上半期にイチオシするそれぞれのニューモデルに5人のジャーナリストが試乗。計165本の2025年注目輸入車の試乗記を順次公開。

シトロエン・ベルランゴ・マックスには、松田秀士さん、武田公実さん、桐畑恒治さん、嶋田智之、森口将之さんが試乗。まずは松田さん、武田さん、桐畑さんの「ここがスゴイ」リポートをお届けする。

インテリアは従来型を踏襲しながらも4本スポークのステアリング・ホイールやメーターの液晶化などアップデートが図られている。

「エンジンもシャシーも驚愕!」松田秀士


3列シート7人乗りのLONG MAX、1.5Lのディーゼル・エンジンに8段ATがセットされる。走り出してすぐにこのディーゼル・エンジンに注目。振動感もなく低速域から高速域までスムーズに回りATとのマッチングも良く力不足を感じさせない。とにかく、もしかしたらガソリン? と思わせるほどディーゼルのマッドなフィールが削ぎ落されていて、プジョー&シトロエンのディーゼル力に感心する。

そこで、このミニバンで箱根ターンパイクを攻めてみた。

驚かされるのはコーナリングだ。リフターの項でも触れたが、私はミニバン乗りのレーシングドライバーだ。205/60R16のタイヤでここまで攻められるとは! 国産ミニバンを凌駕している。

しかも感心するのはそのソフトな足さばき。バンプ(縮み)&リバンプ(伸び)共に十分なストロークがあり、ロールしながらもしっかり路面を放さず、限界はフロントタイヤから、とわかりやすく転倒するような恐怖もない。乗り心地の良さはあたりまえ。仏蘭西製サスに驚愕!



「あくまでシトロエン」武田公実

ベルランゴで「スゴイ」を実感したのは、「シトロエン」を名乗るクルマである以上、多くのファンが期待しているであろう乗り心地。筆者を含むアナクロ派シトロエンファンが期待するような、往年の2CVのごとくフワリとした乗り心地を今さら望むことはないものの、それでも我々が想像している商用車ベースのミニバンとは一線を画した、独特の哲学に基づくサス・チューンが施されているように感じられる。

シートの感触はちょっと堅めながら、街中をゆっくりと流すような速度域で路面の凹凸に見舞われても、ボディとサスペンションで上手く「いなす」。また、高速クルーズにおいてATが8速までシフトアップし、いかにもディーゼルらしい極低回転のトルクを生かして悠然と走っていると、路面が酷く荒れていない限りはなかなかの滑走感覚を味わうことができる。

複数の国籍とブランドをまたいだ兄弟の多いクルマであっても、あくまでシトロエンはシトロエン。それって、今どきじゃ意外に「スゴイ」ことと思うのだ。

肌触りの良いファブリック・シートを採用、後席は3座独立式で倒せば2693リッターという巨大な荷室が生まれる。

「乗れば間違いなくシトロエン」桐畑恒治

さてさて、本日の一台目はベルランゴか……と思ったが、会場で探し回る羽目に。そう、フェイスリフトを受けていたことをすっかり忘れていたのだ。果たしてその新しい顔つきはというと、兄弟車と見間違うほどすっきり精悍になった。以前のすこし陰鬱かつファニーな雰囲気を漂わせていた顔つきがシトロエンらしくて好みだっただけに、正直テンションは下がり気味だった。

だが、ひと転がしすると従来型より“シトロエン”らしさが増していることに気づき、思わずニンマリ。昔のハイドロ&ファブリック・シート時代のような、ふんわり心地よい乗り味が強まっていたのだ。

個性的なルックスは薄れたが、乗れば間違いなくシトロエン。それが最新型ベルランゴの魅力だ。

足まわりの仕様変更は公式には発表されていないが、年次改良によるブラッシュアップの成果だろう。それで方向性を明確にしてくるのだから大したもの。このあたりの巧さとさりげなさが何よりスゴイ。運転中にデザインを愛でることはできないが、その心地よさは存分に堪能できる。

■シトロエン・ベルランゴ・マックス
1.5リッター直4ディーゼル・ターボは最高出力130ps/3750rpm、最大トルク300Nm/1750rpmを発生、8段ATを介し、前輪を駆動する。全長×全幅×全高=4405×1805×1830mm。ホイールベース=2785mm。車重=1600kg。車両価格=439万円~。

写真=小林俊樹/山本佳吾

(ENGINE2025年4月号)

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