2022年7月に16代目となる「クラウン・クロスオーバー」をワールドプレミアした際に、同時に、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」という合わせて4つのボディ・タイプをひな壇に並べ、4モデルすべての導入を明らかにした。そして2025年3月13日、いよいよ4番目となる最後のクラウン、エステートが正式発表。これで4タイプすべての車型が出揃ったことになる。
18年ぶりに復活クラウンには初代から11代目までステーションワゴンが設定されていた(9代目、10代目の世代は8代目モデルを継続販売)が、セダン系が12代目に進化していた2007年に消滅した。以後、しばらくは用意されることがなかった。
正統派のSUV世界的に見てもステーションワゴンはSUVに押されてその存在が脅かされている。かつては日本市場でも多くの車種にステーションワゴンが存在していたが、現在その数は激減している。そうしたなかクラウンにステーションワゴンを復活させた。ただし、11代目までの正統派のステーションワゴンではなく、クロスオーバーから派生した正統派のSUVとなる。
全長はクロスオーバーと同一新型クラウン・エステートはクロスオーバーやスポーツと同じGA-Kプラットフォームを採用。エクステリアは伸びやかなキャビンやしっかりとした水平基調のショルダー・ラインを持ち、クラウンらしい風格を演出している。また、21インチの大径ホイールは力強い安定感を与えている。フロントまわりのデザインは現行クラウン・シリーズ共通のハンマーヘッド・フェイスだが、特徴的なメッシュ模様のバンパー一体型グリルはエステート専用の意匠だ。
クロスオーバーやスポーツとボディ・サイズを比較すると、ホイールベースは2850mm、4930mmの全長と2850mmのホイールベースはクロスオーバーと同じ寸法。全幅はスポーツと同じ1880mm。全高はクロスオーバーより85mm、スポーツよりも60mm以上高い1625mmとなっている。
クラウン共通のインテリアインテリアでは大きくクラウン・シリーズ共通のフロアセンターにどっしりと構えるコンソールを持つアイランド・アーキテクチャーを採用。メーターディスプレイは水平に配置、ビンテージ調の「雲柄」をサドルタン&グレイッシュブルーのトリムにあしらうなど、斬新さを感じるデザインとしている。
ラゲッジルームの容量は定員乗車時で570リッター。荷室長は1070mm、荷室幅は最大値で1430mm、最小値で1030mm。9.5インチのゴルフバック3個、81cmスーツケース2個を収納可能。リア・シートは6対4分割可倒式で、後席を倒したときは約2000mmの奥行きを確保している。また、トヨタとして初となるラゲージルーム拡張ボードを装備することで拡張時のフラット性を向上している。
PHEVとハイブリッドの2機種パワートレインはプラグイン・ハイブリッド(PHEV)とハイブリッドの2種。駆動方式はいずれも4WDで。グレードはPHEVが「RS」、ハイブリッドが「Z」という1パワートレインに1グレード展開となる。
エンジンはともに直列4気筒2.5リッターでレギュラーガソリン仕様。出力はPHEVが177ps(130kW)/219Nm、ハイブリッドが190ps(140kW)/236Nm。組み合わされるモーターはPHEV、ハイブリッドともに同一で、フロントが182ps(134kW)/270Nm、リヤが54ps(40kW)/121Nm。PHEVのバッテリーはリチウムイオンで51Ah、ハイブリッドはニッケル水素で5Ah。
PHEVのシステム最高出力は306ps(225kW)で、WLTCモードでのEV走行距離は89km、WLTCモードのハイブリッド燃料消費率は20.0km/リッター。ハイブリッドはシステム最高出力が243祖(179kW)でWLTCモード燃費が20.3km/リッターとなっている。
外部給電機能、V2Hにも対応PHEVは普通充電とCHAdeMO(チャデモ)方式の急速充電の両方に対応。満充電に必要な時間は普通充電の場合は200V-16Aで5時間30分、200V-30Aで3時間30分、100V-6Aで33時間。急速充電は80%までで38分だ。
PHEV、ハイブリッドともにAC100V-1500Wの常時給電システムを備え、センターコンソール後部に1つ、ラゲッジルーム右側に1つコンセントが装備される。PHEVの場合はヴィークル・パワーコネクターというプラグも付属。ヴィークル・パワーコネクターを普通充電口に差し込むことで、クルマの外側でもAC100V-1500Wが使用可能になる。PHEVは外部給電機能(V2H)にも対応している。
PHEVには専用色を設定ボディ・カラーは、モノトーン5色とバイトーン4色の計9色がPHEV、ハイブリッドに設定。さらにPHEVには専用色としてプレシャスメタル&マッシブグレーのバイトーンカラーが設定される。インテリア・カラーは3色。クラウン・シリーズ共通のブラックとサドルタンに加え、PHEV専用色としてグレイッシュブルーが用意された。
価格はPHEVが810万円、ハイブリッドが635万円。月販基準台数は1500台/月(うちPHEVは500台/月)と発表された。
今回のクラウン・エステート発表に合わせ、マットブラックのエクステリアをまとったクラウン専門店でのみ発売される特別仕様車「RS ザ・リミテッドマットメタル」が設定され、今夏をめどに発売予定とアナウンスされた。

文=諸星陽一 写真=諸星陽一、トヨタ
(ENGINE WEBオリジナル)