2025.04.14

CARS

AMGの3文字から連想するデロデロの脈動音はなし! メルセデス・ベンツCLEカブリオレに加わったAMGにモータージャーナリストの森口将之が試乗

メルセデス唯一の4シーター・オープンカー。

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メルセデス唯一の4シーター・オープンカーに設定された、ツインチャージャ―の3.0リッター直6を積むAMGモデルの出来栄えは?

まず感心したのは乗り心地がいいこと



かつては数字で表された車名の数の多さからしてバリエーションに富んでいることが明確だったメルセデスAMGだが、最近は43、53、63の3種類に統合してきている。現在のメルセデスで唯一のフル4シーター・カブリオレであるCLEカブリオレには、AMG CLE53 4マチック+(プラス)カブリオレが用意される。パワートレインは3.0リッター直列6気筒に電動スーパーチャージャーとターボの2つの過給機を備え、さらにマイルド・ハイブリッド化している。駆動方式は4WDで、50:50~0:100で前後駆動力配分をリニアに制御するというものだ。



2024年に日本に上陸したCLEカブリオレがベースのスタイリングは、AMGならではの前後フェンダーの張り出しすらエレガント。最近のクルマでは多めの光り物や、ゆったりとした弧を描くリア・テールライトなど、意識的にオーセンティックに仕立ててあるという印象を受けた。キャビンは小ぶりだが、ソフトトップを閉じてもリア・シートに身長170cmの僕が座れるところはさすがメルセデスだ。



晴天に恵まれたので、屋根を開けてスタート。まず感心したのは、オプションの20インチ・ホイールとタイヤを履きながら、乗り心地に荒さは微塵もなく、ボディの剛性感にまったく不満を覚えなかったこと。この点もメルセデスならではだ。外気は冷たかったが、サイド・ウインドウを上げ、フロント・ウインドウ上とリア・シート背後のデフレクターを立てると、完全にシャットアウトというわけではないものの、かなりのレベルで寒風を遮断してくれた。



途中でソフトトップを閉じると、さらに剛性感がアップして、もはやクーペと遜色ないレベル。ステアリングの切れ味はカチっとしている一方、乗り心地は硬さを感じるものの角は絶妙に丸めてくれる。ドライブ・モードを「S」や「S+」に切り替えていっても辛さはない。



ツインチャージャーの3.0リッターストレート6は最高出力449ps、最大トルク560Nmなので、踏めば圧倒されるほどの加速を示すが、車両重量が2090kgに達しているうえに、4WD制御が絶妙なので、パワーやトルクを持て余すようなことはなく、安定感を乱されずにパフォーマンスを満喫できる。オープンカーらしからぬボディ剛性は、こういうシーンでも有効に働いていることが確認できた。

エンジン・サウンドはモードをスポーツ方向に進めていくにつれて迫力を増していく。一部の人がAMGの3文字から連想する、デロデロという脈動音ではないのは、V8ではなくストレート6だからということもあるだろうが、カブリオレのたたずまいにはふさわしかった。

文=森口将之 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年5月号)

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