2025.07.04

CARS

おてんば娘をワゴンに乗せて メイちゃん(ゴールデンドゥードル)と300TEとオーナーは、最高の信頼関係で結ばれている

メルセデス・ベンツ300TEに乗る渡辺さんとメイちゃん(ゴールデンドゥードル) 。

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フィアット・リトモ

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「初めての愛車はフィアット・リトモ・アバルトでした。フルローンで手に入れたんですが、ご想像のとおりよく壊れました(笑)。それでイタリア車はちょっと、となり、次に964型ポルシェ911を選んで。その後はアルピナB3や997と続き、996GT3に行き着きました。これは運転する楽しさが格別でした」

ドイツ車のスポーツモデルを乗り継いできた渡辺さん。そうした流れを見ると、300TE(S124)という選択は意外に思えるが、本人にとっては自然な流れだったという。

「GT3だけで日常を送るのは、さすがに厳しかったですね。ちょっとそこまでという買い物でも地上高が気になりますし、乗り降りや乗り心地も普段使いには向いていない。こちらの気力が充実していないと乗る気になれないクルマですから」

そこでセカンドカーとして選ばれたのが300TEだ。普段使い用なら不安の少なそうな新しいクルマを選びたくなるはずだが、渡辺さんの興味はそちらには向かなかった。

300TEの気持ちよい走りも渡辺さんお気に入りのポイント。

「以前から『ENGINE』の記事を読んでいましたが、今のクルマはマーケティング優先で作られているような印象があって。その点、この時代はメーカーの主義・主張が明確でいいですよね。300TEはネットで見つけて、山梨まで現車を見に行きました。試乗をお願いしたら『ひとりで行ってきていいよ』と言われて、その対応も好印象。クルマの状態も良かったので、即決しました」

そうして『エンジン』の長期テスト第44号車と同じ1992年式300TEを手に入れた渡辺さん。8年前の購入時に9万7000kmだった走行距離は、現在15万8000kmに達した。

「この3リッター直6がすごくいいんです。以前乗っていたE46型のアルピナB3よりも滑らかな印象ですね」

その後、996GT3は手放し、300TEが渡辺家のファーストカーに昇格。また一方で、メイちゃんが家族の一員として迎え入れられた。



「メイがうちに来たのが4年半ほど前。つまり300TEが彼女にとってのファーストカーですね。クルマに乗ることに拒否反応はありませんし、車酔いもなし。もちろん丁寧な運転を心がけていますが、後席で大人しくしています。荷物も積めるし、運転も楽しい。結果的にこのクルマを選んでおいて大正解でしたね」

そう語る渡辺さんに従順な眼差しを向けるメイちゃん。この4年半を共に過ごすうちに、二人の間にはしっかりとした信頼関係が結ばれていったようだ。そしてそれは300TEとの関係にも通じることだろう。実用車と言えども、過度な負担をかけず大切に付き合っているという渡辺さん。ネオ・ヒストリックカーも、そうやって丁寧に接することで長く楽しめるはずだ。冒頭の渡辺家の佇まいが理想的に映ったのは、愛犬と愛車、そしてそのオーナーの生活が、強い信頼関係の元に築かれているのが透けて見えたからかもしれない。

文=桐畑恒治 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年5月号)

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