2021.02.11

CARS

「クラシックの嗜みとは歴史を継ぐこと!」 ポルシェ356スピードスター、356プリA、73カレラ2台など珠玉のポルシェと暮らすオーナーの、ポルシェへの思いとは?

58年式のスピードスターと52年式最終プリAと隅本さん

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お嬢さんの一言でどうしても73カレラが欲しくなり、縁があって日本で販売された第1号車を手に入れた隅本勉さん。いまではポルシェ好き垂涎のコレクションがガレージに並ぶ。モータージャーナリストの西川淳がリポートする。

最初のポルシェは997カレラ


とにかくページを繰って写真を見ていただこう。珠玉のコレクション。わずか10年ほどでこれほどの個体を揃えたオーナーの、ポルシェへの思いの原点は一体どこにあったのか。訪ねる前から気になっていた。



物語の主人公は隅本勉少年だ。漫画『サーキットの狼』がブームになる前から、勉少年の家にはポルシェがよくやってきた。父上の一番の親友だった人で、当時、ポルシェクラブの会長だった。勉少年の目にはいつも違うポルシェでやってくるカッコいいおじさんだと映っていた。1ドル360円の時代、ポルシェは今よりもずっと高価な存在だった。そんな高級スポーツカーをとっ替えひっ替えしてやってくる父の親友に勉少年は憧れたのだ。同時に、ポルシェという国産車とは全く異なるスポーツカーの姿も、少年の心を奪った。

とはいえ、そこから長らくポルシェとは縁のない生活を隅本さんは送ることになる。大学病院で働いていたからだ。転機は開業医になってからやってきた。ようやくポルシェを買えたのだ。青い997カレラだった。しばらくして白い997カレラ4Sも手に入れ、めでたく憧れの2台持ちとなったある日のこと。小さな娘を乗せて国道171号線をドライブしていると、レモン・イエローの73カレラに背後を取られ、あっという間に抜き去られてしまった。その時のお嬢ちゃんのひと言が隅本さんの心に火をつける。

「どうしてパパのクルマは遅いの?」

少年の頃の想いが急に蘇った。早瀬左近に抜かれた気分になった。どうしても73カレラRSが欲しい。心に決めた隅本さんは早速、探し始める。それが10年くらい前のことだった。

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