2025.04.20

CARS

ラリーのイメージが強いが、ランチアはフラヴィアのような高性能だけど控えめが実は本流だった

2025年4月11日からの3日間で開催されたオートモビル・カウンシル2025。クルマをはじめ、カー用品やグッズ、さらにファッションなど、クルマやクルマ生活にまつわる様々なものが出展されている。メーカーや主催者のテーマ展示と並んで人気を博しているのが、旧車のスペシャル・ショップ。展示している車両の多くは購入可能で、人気車種は開場ともに売れてしまうクルマも少なくない。そんなスペシャル・ショップの展示から今回は、「ランチア・フラヴィア」を紹介する。

フルヴィアではなくフラヴィア

ランチアの車名は難しい。取材中にちゃんと意識してフラヴィアと言っているつもりだったが、脳内で何度か「フルヴィア」と混同してしまい、恥ずかしい思いをした。



旧き良きランチアならではの一台

ランチアといえば世界ラリー選手権を席巻した「ストラトス」、「ラリー037」、「デルタS4」、「デルタHF」、「HFインテグラーレ」の印象があまりにも強いため、戦うクルマの開発と生産を得意としているメーカーだと思いがちだ。しかし、1969年にフィアット・グループに入る前はハイパフォーマンスだが控え目な高性能車を造るブランドだった。

そう、独立企業時代は上質かつ斬新で、他社製品よりも技術的に数歩先を行くアンダーステイトメントな名車ばかりをデリバリーしていたのだ。1960年に登場したフラヴィアも旧き良きランチアならではの一台で、水平対向4気筒エンジンと4輪ディスクブレーキを持つ当時としては先進的なクルマだった。



ピニンファリーナ製のボディ

ガレーヂ伊太利屋がオートモビル・カウンシル2025で展示していたのは1969年式のランチア・フラヴィア・クーペで、会場での税込車両販売価格は1050万円。稀少車なので、数多くの自動車趣味人が足を止めて注視していた。

ピニンファリーナがデザインし、ボディの生産まで手がけたフラヴィア・クーペは1961年に追加設定された。ホイールベースをセダンの「フラヴィア・ベルリーナ」の2650mmから2480mmに短縮。そこに「フェラーリ250GTE 2+2」を思わせる端整なクーペ・ボディを組み合わせていた。



元オーナーにインタビュー

そのため、どこから見ても後輪駆動に感じられるのだが、先に登場したフラヴィア・ベルリーナがそうであったようにフラヴィア・クーペも前輪駆動で、モータースポーツの世界でも活躍したフルヴィアと同じように痛快な走りを楽しむことができた。

取材時にちょうどガレーヂ伊太利屋の代表と現車の元オーナーが居合わせたのでインタビューしたら、代表は「よく走りますよ!」と短いながらも熱くコメントし、元オーナーはこのように話してくれた。



オリジナル度が高い

「このフラヴィア・クーペはイギリスにありました。4年ぐらい前にオーナーのところに連れて行ってもらい、なかなか存在しないフルオリジナル車だったので買うことにしました。細かな部分をリセットするといった作業は行いましたが、内外装、エンジンともそのままの状態を維持しています」

代表にオドメーターを確認してもらったら5万5000マイルだったので、おそらく実走行の距離であろう。筆者の1974年式「アルファ・ロメオGT1600ジュニア」も右ハンドルなので、自宅のガレージ内でこのフラヴィア・クーペと一緒に保管できたらサイコーだ。



文・写真=高桑秀典

(ENGINE WEBオリジナル)

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