2025.04.29

CARS

500万円以下でコスパ抜群のガソリンモデルと比べてみたら?  新型フォルクスワーゲン・ティグアンのディーゼルに試乗

通算3代目となるゴルフのSUV版こと、新型フォルクスワーゲン・ティグアン。日本ではガソリン、ディーゼルともに3グレード6モデルが展開されているが、今回はTDI 4モーションのエレガンスにモータージャーナリストの森口将之が試乗。果たして、おすすめのモデルは?

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エモーショナルになったティグアン

ティグアンは世界で最も売れているフォルクスワーゲン(VW)だそうだ。SUV人気が定着していることを教えられるが、通算3代目となる新型に接すると、ベストセラーである理由を各所から感じる結果になった。それとともにスタイリングでは、最近やや小柄なクロスオーバー・スタイルのTロックが加わったことを受けて、SUV色を強めていると感じた。

ヘッドランプの位置は高く、エンジン・フードは水平に近くなり、前後フェンダーの縁やサイド・シル、前後バンパー下部にはブラックのパネルを張り巡らせるなど、力強さを強調した造形が目立つ。ブリスター・フェンダーはVWとしては珍しいけれど、エモーショナルなイメージを加えることには役立っている。



不思議な動きのセレクター

インテリアはゴルフ同様、大きなセンターディスプレイがまず目立つものの、全幅にわたる黒いパネルにメーターを収め、助手席側からドア・トリムにかけてイルミネーション内蔵のグラフィックを配するなど、人気モデルならではの攻めの姿勢を感じる。

操作系で気づくのは、7段DSGのセレクターがフロアからコラムに移ったことだ。ほぼ同じ時期に日本に導入された新型パサートも同じなので、今後VWのスタンダードになっていく可能性がある。コラム式のヘッドライトスイッチのように上へ回してD、下へ回してRとなる動きは、最初は不思議に思ったが、同じJAIA試乗会に展示されていたVWグループの大型トラック、スカニアに採用されていたセレクターと同じであることを発見して納得したし、走り出すとすぐに慣れた。



スペースはゴルフを全方向に広げたような感じで、後席にスライドとリクライニング機構がつくなど、マルチパーパス性も高まっている。ファミリーカーとしては文句ない空間だし、荷室を含めてドイツ車らしい精緻な作りも印象に残った。



2つのパワートレインと3つのグレード

新型ティグアンは1.5リッター直4ガソリン・ターボのマイルド・ハイブリッドと2リッター直4ディーゼル・ターボがあり、ガソリンは前輪駆動、ディーゼルは4WDの4モーションになる。それぞれにアクティブ、エレガンス、Rラインの3グレードを用意するなかで、試乗したのはTDI 4モーションのエレガンスだ。

エンジンは最高出力193ps、最大トルク400Nmと、どちらもゴルフを上回り、パサートと同じスペックだ。静かで滑らかに回るうえに、全域でトルクフルであり、1750kgのボディを意のままに加速させる。

ハンドリングは横置きエンジン前輪駆動ベースの4WDとして模範的。前輪主導が過ぎることもないし、後輪が主張しすぎることもない。乗り心地も不快ではないなかで、ボディの硬質な感触が伝わってきて、VWに乗っているという実感を抱かせる。

おすすめは500万円以下で手に入れられる「アクティブ」

ただし621.8万円という価格は、同じドイツのプレミアム御三家が見えてくる数字である。個人的には50万円以上安いアクティブ、500万円以下で手に入る前輪駆動のガソリン車のほうが、キャラクターを満喫できるのではないかと感じた。



文=森口将之 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年6月号)

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