BMWが上海モーターショー2025で、M4の限定車であるエディション・ニュルブルクリンクを初公開した。
BMW Mの生誕53周年記念車
エディション・ニュルブルクリンクは中国のみで販売され、台数はBMW Mの53周年にちなんで53台とされる。

ノルトシュライフェことニュルブルクリンク北コースは、深い森に囲まれた全長約20kmのサーキット。その走行距離の長さはもちろんだが、高低差の大きさや路面ミューの低さ、急減速が必要なコーナーやジャンピング・スポットなどが組み合わさる過酷を極めたコースで、グリーン・ヘル(緑の地獄)という異名でも知られる。
BMWは、この地で開かれる24時間耐久レースに長年にわたって参戦し、輝かしい戦績を残しているだけでなく、車両開発や一般ドライバー向けドライビング・レッスンの場としても活用し、その関係は25年以上に及ぶという。
そうした関係を踏まえてコース名を冠したこの限定車には、彼の地の森を思わせるメタリック・カラーのBMWインディビジュアル・フローズン・ディープ・グリーンをボディ・カラーに選ばれた。また、グリルの外縁は赤く縁取られている。

ドアを開けると、サイド・シルにはニュルブルクリンクのレタリングと、限定台数を示す1/53の数字が刻まれている。

シートのヘッドレストには、ノルトシュライフェのコース図が赤く刺繍され、スティッチやアクセントも同じく赤で彩られる。

ベース車は、M4コンペティションのM xドライブこと四輪駆動モデル。530psの3リットル直6ツイン・ターボを搭載し、0-100km/h加速は3.5秒を誇るが、直線加速だけでなく、サーキットでダイナミックな走りを見せることは周知のとおり。もちろん、その走りを鍛えるテストには、ノルトシュライフェが使われている。
6月には、ニュルブルクリンク24時間レースが今年も開催される。前週がル・マン、翌週がスパと、24時間レースが3週連続開催される過密スケジュールを受け、トップ・カテゴリーにワークス参戦するM4 GT3 EVOは1台のみとなるが、カスタマー向けのM4 GT4 EVOや、M2レーシングの開発車両も投入することが発表されている。
解せないのは、BMWとMにとって故国を代表するサーキットという以上に重要な意味を持つコースの名前を、このクルマに与えたことだ。Mの53周年というタイミングも中途半端なら、中国市場に限定することも、内外装の簡単な化粧直し程度という内容も物足りない。

ぜひとも現行M4が現役のうちにニュル24時間で勝ち、性能面も向上させた祝勝記念車を期待したいという思いは、BMWファンならずとも抱いているのではないだろうか。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)