シトロエンが、C5エアクロスの第2世代モデルを発表した。3タイプのパワートレインと新たなインテリアのコンセプトを採用し、欧州の激戦区であるCセグメントSUV市場での競争力強化を図る。
コンセプト・デザインを踏襲
2024年のパリ・モーターショーに出展したコンセプト・モデルで示したとおり、スタイリングは曲線的だった先代より力強さを意識したもので、張り出したフェンダーが目を引く。フロントは、シトロエンの新たなデザイン要素である3点式ライト・シグネチャーを導入し、グリルから連続したセクションにマトリックスLEDヘッドライトを配置する。バンパーの平面部には、動きを感じさせる、シェブロンに通じる縞模様のモールドを加わる。

ルーフ・ラインは、2列目シートの後方付近からややスロープする独特の形状で、居住空間を確保しつつ空力を向上。空気抵抗を示すSCx値は0.75と、先代の0.84から大きく改善され、電力での航続距離を30km以上伸ばす高効率化を果たした。

リア・エンドには、フロント同様の3点ライトと、グロス・ブラックのガーニッシュを設置。外側に張り出した2つのセクションは、導風板としても機能する。リア・クオーター・パネルにも、整流効果を発揮する溝が刻まれた。

プラットフォームは、ステランティスの最新ラインナップに使用されるSTLAミディアムで、3サイズは4652×1902×1660mmと、全長は先代よりおよそ150mm、全幅も50mm程度拡大。ホイールベースも2784mmと、60mmの延長を果たした。いっぽう、全高は50mm低くなったが、最低地上高は10mmアップの200mmを確保している。また、ホイールハウスを20mm拡大したことで、ホイールは従来比2インチ・アップの20インチが装着可能となった。
ボディ・サイズの拡大で、居住性も向上した。Cゼン・ラウンジと銘打ったコンセプトに基づき、リビング・ルームのような空間を目指したキャビンは、水平基調の長いダッシュボードや大面積のガラス・ルーフで開放感を創出。身体を包み込むようなフロント・シートは厚手のフォームを使用し、快適性を高めた。

後席も高品質フォームを採用し、リクライニング機構も装備。さらにレッグ・ルームは、先代より51mm拡大した。また565〜1668リットルの荷室容量は、クラス最大級だという。チャットGPTを組み込み、音声認識の性能向上を図ったインフォテインメント・システムや、ステランティス最大のHDタッチ・ディスプレイなど、先進機能も拡充している。

パワートレインは3種類。エントリー・レベルのハイブリッド145は136psの1.2リットル3気筒ターボと6段DCTに、定格12ps/最大29psのモーターと、運転席下の0.9kWhバッテリーを組み合わせる48Vマイルド・ハイブリッド。電力走行も可能で、WLTP複合モード値でのシステム航続距離は950kmを超えるという。空力改善により、燃費は先代より4%ほど向上した。
ハイブリッド・リチャージャブル195と呼ばれるPHEVは、150psの1.6リットル4気筒ターボに、125psのモーターを組み込んだ新型7段DCTと、車体中央の床下に積む21kWhバッテリーをセット。EV走行距離は平均86kmで、市街地なら100kmを越え、28%拡大した55リットルの燃料タンクもあって、航続巡航は650kmを可能にする。
新規設定のe-C5エアクロスは、STLAミディアムの柔軟な設計を生かした電気自動車。210psのモーターと電池容量73kWh、230ps+97kWhの2仕様が用意され、最大航続距離はそれぞれ520km/680kmを誇る。走行モードは3つで、アクセレレーターの踏み込みが70%までは出力を制限するノーマル、出力や空調にも制約を加えるエコ、常にフル・パワーを使用でき、ステアリングなどの設定もパフォーマンス志向になるスポーツが選べる。
回生ブレーキは3ステージ式で、ステアリング・ホイールのパドルで調整可能。空調の消費電力を抑え、航続距離を25km延伸できるヒートポンプも装備できる。充電は最大160kWに対応し、残量20%から最速30分以内で80%に達する。2026年には、V2L外部給電にも対応する見込みだ。

この新型C5エアクロス、欧州市場では2025年後半の発売を予定している。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)