2025.06.02

CARS

いたずらっ子のような愛らしいフィアット600eに試乗 ハイブリッドも登場! 可愛さの裏に光る高度で繊細なプロのデザイン力

日常的な扱いやすさを重視したフィアット600e。

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フィアットのラインナップに新しく加わった600は、500の可愛さをそのままにした、BセグメントのSUVである。そう感じさせるのは、このデザインによるところが大きい。この5月にはハイブリッドも登場して2つのパワートレインが選べるようになったフィアット600(セイチェント)。今回はモータージャーナリストの佐野弘宗が600eに乗って、その走りと愛らしいデザインの魅力について考えた。

茶目っ気たっぷり

新しいフィアット600と対面した瞬間、その造形に思わず笑みが浮かんだ。何かを企んでいるような可愛らしい“目”を持つフロントのデザインが、茶目っ気たっぷりの、いたずらっ子のようにも見えたからだ……。



このフィアット600は「500の上級版」である。ちなみに、現代の500のデザインがモチーフにしている1950~70年代に生産された「ヌオーバ500」時代も、その上級モデルは600だった。



最新の500eの世界初公開が2020年で、その拡大版ともいえる600は、今回のeが2023年7月、追加モデルのハイブリッドが同年9月だった。もっとも、新しい600のプラットフォームは500eとは異なるので、厳密には600は500eの拡大版ではないのだが、600は500eの拡大版という位置づけで企画開発されたと考えていい。

リア・エンジンだった初代600のデビューは1955年で、ヌオーバ500より2年早い。というのも、戦後初のフィアット小型車として新開発された600の発売を間近にして、あらためて市場調査をすると、「イタリアの大衆はもっと小さく安価なクルマを欲している」という結果が出てしまった。

そこで当時のフィアットは急きょ、リア・エンジンという600の基本レイアウトはそのままに、各部を小型化した500の開発に乗り出した。

ヌオーバ500はいわば600の縮小版であり、最新の500eと600とは順番が逆だった。実際には、初代600も発売直後からヒットした。最終的には約14年間というロングセラーとなり、ヌオーバ500とならぶ歴史的な名フィアットとして語り継がれる存在となった。

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