2025.07.08

CARS

デザインに一目惚れ! 荒井寿彦(フリーライター)が選んだのはキャデラック・リリック  欲しいのはカッコいいクルマだ!!

内燃エンジンだろうと、電気モーターだろうとカッコが良くなければ食指は動かないし、うわ! これ欲しい! と思えば、それに乗り続けるための手段を考えるというのがクルマ好きの本音。

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顧客は65歳以上

1970年代前半のオイルショックにより、クルマはダウンサイジング化と低燃費実現を余儀なくされていく。もちろん、キャデラックもこの流れに逆らえない。ダウンサイジングすると、GMのほかのブランドとの差別化が難しくなった。ブランド・イメージは下降していき、1980年代後半にレクサスなどのライバルが勢いをつけると、キャデラックの顧客層は65歳以上という状況になってしまった。

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キャデラックはこの状況を打破するために、2000年代からブランドの再構築を行ってきた。古いブランド・イメージから脱却し、若くてモダンなブランドへ生まれ変わることを目指したのである。



車名をカテラはCTS、セビルはSTS、ドゥビルはDTSへと変更し、ラインアップのエクステリア・デザインを一新した。また2012年には欧州プレミアム・コンパクト・セダンに対抗するATSを発表するなど、キャデラックはどんどん新しいことに挑戦してきた。ところが私にはキャデラックが頑張れば頑張るほど、“あんな時代があったね”と、スクウェアな世代の影がついて回って見えたのである。

リリックはそういう感じがまったくしない。電気自動車ということとも相まって、古いキャデラックの保守的なイメージがまったくない。“そんな時代があったねといつか笑える”その日が来たように思えた。

白いパイピングが施されたレザーシートはたっぷりとしたサイズで掛け心地も申し分なかった。ヘッドレストにもスピーカーを備えるAKGサウンド・システムは素晴らしい。

パワー・ソースが内燃エンジンだろうと、電気モーターだろうとカッコが良くなければ食指は動かないし、うわ! これ欲しい! と思えば、それに乗り続けるための手段を考えるというのがクルマ好きの本音なのではないだろうか。

今回はリリックのデザインを検証するための撮影だったので、品川のGMジャパンからお台場の撮影現場まで都内の一般道を15分ほど走っただけだったが、乗り心地の良さに驚いた。また、AKGの19スピーカー・サウンド・システムも素晴らしい。キャデラック・エスカレードに続く市販車ナンバー2の再現力だと断言します。

このサウンド・システムで何を聴くか。実はロック&ポップスのなかで最も多く登場するクルマはキャデラックである。ブルース・スプリングスティーンの『ピンク・キャデラック』、『キャデラック・ランチ』、AC/DCの『バック・イン・ブラック』、ザ・クラッシュの『ブラン・ニュー・キャデラック』などなどキャデラックは成功の象徴あるいは、それを否定するものとして多くの曲に登場する。そんな中からお薦めはアリアナ・グランデの『キャデラック・ソング』。

アリアナ・グランデのヴォーカルが素晴らしい。痺れますよ。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=郡 大二郎

(ENGINE2025年7月号)

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