BMWが、先ごろ発表したM2 CSの詳細を公開した。カーボン・パーツの多用などにより、現行M2における最軽量仕様となっている。
車重わずか1.7トンで心臓部はM4 GT3エボ譲り
新しいM2 CSは残念ながらマニュアル・トランスミッションの設定がなく、トランスミッションは8段のトルクコンバーターATのみの設定で、車両重量はM2本国仕様のAT車より30kg、MT車に対しても5kg軽い1700kgだ。

この重量を実現するべく、ルーフやダック・テール・スポイラー一体型のトランク・リッド、リア・ディフューザーなどはカーボンFRP(CFRP)製に、ホイールは軽量な鍛造品に、それぞれ変更されている。
また、フロント・エンドにはマット・ブラックのスプリッターを追加。ブラックのキドニー・グリルとエア・インレットも、専用形状を採用している。テール・パイプは、マット・ブラックの専用仕上げだが、オプションで、カーボンとチタンを用いたアイテムも選択できる。

インテリアも、バケット・シートやセンター・コンソール、シフト・パドルなどにCFRPを使用。また、各部に“CS”のロゴをあしらい、シートやドア・トリムのそれはイルミネーションを仕込んだ。

車高は従来のM2より8mmロー・ダウンし、ダンパーとスプリング、シャシー制御システムは専用チューンとなる。DSCやMダイナミック・モードには、サーキット走行への適合を考慮したセッティングを施した。アダプティブ・サスペンションやパワー・ステアリング、ディファレンシャル、ブレーキも専用スペックだ。オプションでは、カーボン・セラミック・ブレーキも用意される。

当然というべきか、エンジンもチューンナップされた。レースカーのM4 GT3エボ譲りの2993cc直6ユニットは、通常のM2より最高出力/最大トルクは50ps/50Nmアップの530ps/650Nmを発揮する。
0-100km/h加速は0.2秒短縮の3.8秒と、ついに4秒の壁を破り、0-200km/hは1.2秒縮めて11.7秒に。最高速度は302km/hと、M2のMドライバーズ・パッケージ仕様の285km/hから17km/hも引き上げられた。
なお、ドイツでの販売価格は11万5000ユーロ(約1879万円)と発表されている。
クーペ・スポーツかコンペティション・スポーツか
ちなみにCSは、1962年の3200 CS以来続く名称だ。これはセダンの3200から発展したクーペで、その後も“2000 CS“、“3.0 CS”と、クーペの高性能モデルに受け継がれてきた。
つまりCSの名は、クーペ・スポーツを意味するとされた。1971年にはツーリング・カー・レースのホモロゲーションモデルとして、軽量化を施した“3.0 CSL”も登場する。

やがてCSは、Mモデルの高性能版を示すサフィックスへと姿を変える。2004年には、E46型M3に“M3 CSL”、翌年には英国限定の“M3 CS”を設定。2017年のF82型“M4 CS”と同等のチューンを施したセダンのF80型“M3 CS”が2018年に、2021年にはF90型“M5 CS”が登場。このころからCはクーペではなく、Mモデルの上位機種の呼称であるコンペティションの略と解釈されるようになった。

先代のF87型“M2 CS”は2020年の登場。好評を得たM2コンペティションをベースに、高出力化や足まわりの専用チューン、カーボン・パーツを多用した専用エクステリアなど、細部に至るまで磨き抜いたモデルで、日本へは60台が導入された。
今回発表された新型はドイツ本国のほか、アメリカと中国が主要マーケットとされ、日本での販売は未定だが、少数でも上陸に期待したい。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)