2025.06.09

CARS

「簡単すぎる外免切替」に批判の声続出 ひき逃げや逆走など事故多発で見直しが始まった制度の実態とは


外免切替の問題点とは?

外免切替が「簡単すぎる!」と話題になっているのは、知識・技能の確認が免除されない国のケースだ。

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現行制度の場合、知識の確認は正誤式10問のうち7問以上正解すればよいというルールになっている。また、知識の確認では、「赤信号は進んでよいか」や「助手席はシートベルトをしなくてよいか」など、日本国内での運転を想定した交通ルール以外の問題も多い。よって、交通ルールの勉強をしなくても運良く合格できてしまう可能性が高いということだ。

知識の確認の後には、技能の確認が待ち受けているが、場内での運転のみとなっているため、実際の道路で運転することがない。この点も外免切替の問題点といえるだろう。



知識・技能の確認は、外国の運転免許を保有していることを前提としているため、試験の一部が免除されるのは理解できる(日本国内で二輪免許保有者が普通自動車の運転免許を取得する際に学科教習や技能教習の一部が免除されるため)。

ただし、外国の交通ルールと日本国内の道路のルールは異なる点がいくつもある。よって、知識・技能の確認の内容が、外国の交通ルールと日本の交通ルールの違いを把握しているかチェックする内容になっていれば、交通事故のリスクを下げることができるだろう。

しかし、現行制度の知識および技能の確認の内容は、実際の交通ルールを把握しているか確認する内容ではない問題が多いのが実情だ。

問題点はその他にもある。例えば、右側通行の国の人が左側通行の日本の一般道および高速道路で運転の練習をすることなく、運転が許可された(外免切替できた)場合、通行位置を間違える(逆走する)可能性がある。



ただ、これは外国籍の人が日本で運転するときに限った話ではない。日本人が国際免許を取得して右側通行の国の道路を運転するときも同じリスクがある。よって、日本国内にいる日本人からすれば、外国籍の外免切替ドライバーは危険だと感じるかもしれないが、日本人が海外に行けば同じように思われる可能性があるということだ。このような意味では、お互い様といえるだろう。

話は少し逸れたが、外免切替制度は、日本国内における交通の安全を維持するために、一定の役割を果たしているといえる。ただ、実際の交通社会で役立つ内容の知識および技能の確認にしておかなければ、日本国内の交通の安全を維持するのは難しいだろう。

現在、外免切替制度の見直しが検討されているが、単に学科試験の問題数を増やしたり、技能試験の内容を増やすだけでは意味がないといえる。



必要となる知識および技能は、交差点の通行方法や高速道路の通行方法、事故を起こしたときの応急処置や通報先など、実際の交通社会で必要となる知識および技能だ。これらが外免切替の知識・技能の確認に盛り込まれるかどうかがポイントといえるだろう。

外免切替制度は今後変わる可能性がある

先述したとおり、外国籍の外免切替ドライバーが日本国内で起こしたひき逃げ事故や逆走事故などによって、外免切替制度の見直しが検討されている。今後どのような内容に変更されるかは現時点ではわからないが、できるだけ交通事故を起こすリスクが少ないドライバーにのみ、運転免許が交付される制度に変更する必要があるといえるだろう。

文=齊藤優太(ENGINE Web)

(ENGINE Webオリジナル)

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