2025.06.10

CARS

「実は過去最高に快適なクルマかも」自動車評論家の渡辺慎太郎と斎藤慎輔が試乗して驚いた最高に楽しいイタリア車とは?

渡辺慎太郎さん、斎藤慎輔さんが試乗したのはデザインが最高のイタリアの新型EVだ!

全ての画像を見る
今年もやりました2025年版「エンジン・ガイシャ大試乗会」。上半期注目の総勢33台の輸入車にモータージャーナリスト33人が試乗!

フィアット600eラ・プリマには、吉田由美さん、島下泰久さん、田中誠司さん、渡辺慎太郎さん、斎藤慎輔さんが乗った。今回は渡辺慎太郎さん、斎藤慎輔さんの「ここがスゴイ」リポートをお届けする。

「すっかりイタリアン」渡辺慎太郎

フェラーリ本社へ行った際、エラい人専用の駐車場がフィアット500Xだらけで驚いた。フェラーリに勤めている人はみんなフェラーリに乗っているはずもないのだけれど、跳ね馬を誰よりもよく知る彼らの日常のアシとして、500Xは認められていたのだろう。



そんな“跳ね馬御用達”の500Xの後継者的存在が600で、600eはそのBEVモデルである。

600eを魅力的と感じる人は、きっとそのスタイリングに惹かれているに違いない。500をふくよかにした格好からは、イタリア出身であることがきちんと伝わってくる。インテリアの造形もドイツ車や日本車では絶対にお目にかかれないもので、走り出す前にすっかりイタリアンな雰囲気に洗脳されてしまう。

走り出した後も、もしこのクルマがジープ・アベンジャーと中身が一緒だと知らなかったら“イタリアン脳”のまま幸せに過ごせたかもしれない。両車の乗り味が似てしまったのは600eのせいではない。アベンジャーを4WDにして、もっとジープらしくするべきだと思う。

「嬉しい誤算」斎藤慎輔

なにを考えたのか、欧州委員会なる組織の、無理難題であることは百も承知だったはずの急激なEVへの移行の押し付けに、皆が翻弄された欧州自動車メーカーにあって、フィアットも本当に頑張ったと思う。

丸いメーター・クラスターや2本スポークのステアリング・ホイールは初代フィアット600へのオマージュだという。

そもそもコンパクト・カーを主とするメーカー、つまり経済性に優れ、排出ガス量も根本的に少ないクルマを主とするフィアットが、全てをEV化する計画に抵抗がなかったわけがない。でもやるからには本気でヤル。500eもそうだが600eもその本気度の現れだ。

500eと違うのは、幸いにも600eにはステランティスの中に先行してベースとなるクルマがあったことだが、もしかしてコレ、フィアットのBセグカーの中でも過去最高に快適なクルマじゃないの、と思わせる。

乗り味がイタリアンぽくない、といった声もあるけれど、ちょっと本気で走らせてみれば、可愛らしい雰囲気や、普段の優しい乗り心地からは想像できないスーパー・ハンドリングを備えているのは、嬉しい誤算だったりして、この隠し味に気づいて欲しいのデス。

フィアット600eラ・プリマ

フィアット500eよりひと回り大きいBセグメントの電気自動車。今年は新たにマイルド・ハイブリッド・モデルも導入される予定だ。全長×全幅×全高=4200×1780×1595mm。ホイールベース=2560mm。車両重量=1580kg。

写真=山本佳吾/小林俊樹/茂呂幸正

(ENGINE2025年4月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement