18年間もスポーツカーを代表するモデルとして第一線で活躍してきたR35 GT-R。2025年に生産終了となるGT-Rは、名車と言われるモデルの1つになるだろう。最終回となる今回は、所有しているオーナーはもちろん、これからGT-Rを手に入れようとしている方に向けて、開発ドライバーだった鈴木利男さんに取り扱いの注意点を聞いた。
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R35 GT-Rのメンテナンスや車検などを行っている「ノルドリンク」
R35 GT-Rは、高性能なマシンだ。それ故に、定期点検やメンテナンスは欠かせない。また、日本が世界に誇るスポーツカーを長く乗り続けるために、点検・メンテナンス、車検、修理などの依頼先について悩む方もいるだろう。

開発ドライバーを務めていた鈴木利男さんは、R35 GT-R専門のメンテンナンスや車検などを行う「ノルドリンク」を運営している。
ノルドリンクでは、R35 GT-Rの点検・メンテナンスや車検のほかに、R35 GT-R用オリジナル部品の開発・販売、走行会やドライビングスクールなども行っているが、近々ノルドリンクが整備した厳選中古車の注文販売もスタートさせる予定だそうだ。
また、R35 GT-Rを開発に携わっていたメカニックが在籍しているのもノルドリンクの特徴だ。そのため、販売店からR35の整備や修理の方法について問い合わせがあるという。

R35 GT-Rのメンテナンス依頼先に悩んだときは、ノルドリンクを尋ねてみるとよいだろう。
【株式会社ノルドリンク】
所在地:東京都西多摩郡瑞穂町二本木765-1
電話番号:042-568-2135(代表)
営業時間:10:00~18:30
定休日:火曜日、第1第3水曜日
公式ページ:株式会社ノルドリンク(
http://www.nordring.jp/index.html )
R35 GT-Rを取り扱う際の注意点を開発ドライバーに聞いた
R35 GT-Rは高い性能だからこそ取り扱いにも注意が必要だ。そこで、開発ドライバーであった鈴木利男さんにR35 GT-Rの取り扱う際のポイントを聞いた。

「冬場の走り出しには気をつけたほうがいいですね。できれば水温や油温が50℃〜60℃以上になるまで暖機することをおすすめします。やむを得ず水温や油温が上がる前に走り出すときは、とにかくゆっくり動かしてエンジンやトランスミッションなどに負荷をかけすぎないようにすることが重要です。エンジンオイル、トランスミッションオイル、ディファレンシャルオイルなどは、適正な温度にならないと正しい仕事(潤滑や冷却など)をしません。冬場の寒い時期や気温が低いとき(油温や水温が上がっていない状態のとき)に、急発進したり負荷をかけた運転をしてしまうと、各部に負担がかかってしまいます。なので、適正な温度になるまでは各部に気を配った操作をすることがクルマを壊さないためのポイントです」

この“水温や油温が適正な温度になるまで負荷をかけない”という利男さんのアドバイスは、高出力かつ繊細なエンジンを搭載しているR35 GT-Rのみならず、その他のクルマにも共通する“壊さないための”乗り方といえるだろう。
現代のクルマは“暖機が不要”と言われることもある。これは、急加速などをしない日常使いにおける話だ。よって通勤や買い物などの普段使いでは、クルマをゆっくり動かすことを意識していればよいだろう。

一方、スポーツ走行(高回転までエンジンを回す高負荷運転)をする際は、機械部品の温度、油温・水温などが適正な温度になるまでは暖機することが重要だ。スポーツドライビングをするときは、しっかりと暖気をして、油温や水温が50℃以上になってからスポーツドライビングするよう心がけるとよいだろう。
世界初ウィナーズ・デイトナ獲得ドライバーは世界で人気のR35 GT-R開発ドライバーでもあった
ウィナーズデイトナを世界で初めて獲得したレーシングドライバー鈴木利男さんは、日本が世界に誇る高性能マシンR35 GT-Rの開発ドライバーだ。

また、前回の記事で登場したR35 GT-Rの開発責任者 水野和敏さんは、1992年当時デイトナ24時間レースをはじめとするグループCカーのレースチーム監督を務めていただけでなく、ウィナーズ・デイトナが贈られることとなったマシン日産 R91CPの設計・開発をした人物でもある。
ウィナーズ・デイトナ、24時間耐久レース、R35 GT-Rは、別々に語られることが多いが、実は鈴木利男さんというドライバーが共通している。

今回、特別にウィナーズ・デイトナを見せてもらったり、R35 GT-Rの開発話や取り扱いの注意点などを聞いたりすることができた。まさか、日本が世界に誇る伝説のマシン(R91CPとR35 GT-R)に共通している人物に会って話を聞くことができる日がくるとは思ってもいなかった。
機会があれば、ウィナーズ・デイトナを贈呈された星野一義さんや長谷見昌弘さん、そしてR91CPやR35 GT-Rの設計・開発を行った水野和敏さんにも、今だから話せる裏話を聞いてみようと思う。
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こちら文=齊藤優太(ENGINE編集部) 写真=佐藤慎吾(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)