2025.07.03

CARS

【試乗動画付き】これはアウディの傑作車だ! マイルド・ハイブリッド搭載の新型アウディS5アバントに試乗


ふたクラス上の高級車の乗り味

そんなことを考えながら、新型S5アバントで走り始めた後に、この日の一番の驚きが待っていた。その走りっぷりが昔ながらのアウディの美点である、クワトロ・システムを駆使した矢のように突き進む直進安定性や、4WDとは思えないようなよく曲がるスポーティなハンドリングをさらに進化させていたのみならず、明らかにこれまでよりも格段に乗り心地がよく、加速、減速などすべての動きがスムーズな、ひとクラスもふたクラスも上の高級車のような乗り味を備えていたからである。

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フロントのオーバーハングに3リッターV6ターボを縦置きし、7段ATを介して4輪を駆動するのは、そのタービンが可変ジオメトリーという先進技術を取り入れているとはいえ、基本は昔ながらのアウディのやり方だ。しかし、この新型S5がこれまでと違うのは、トランスミッションの出力軸に48Vで駆動する出力24psの小さな電気モーターを取り付けたMHEVプラスと呼ばれる新たなマイルド・ハイブリッド・システムを搭載していることである。



発進からしばらくは、その電気モーターだけで走ることができるのみならず、エンジンが始動してからも、加減速時にはそのモーターが加勢したり、回生したりする。たとえば、ブレーキを踏んだあとの初期減速はまず回生で行なわれ、そのあと4輪のディスクが使われるようになっているという。しかし、そのモーターは完全に黒子に徹していて、すべての加減速が驚くほどにスムーズで、かつ自然なのである。だから、私のような昔ながらのアウディの味に馴染んでいる者にも、違和感はまったくない。しかし、格段に走りっぷりが進化していることはすぐに感じ取れるのである。しかも、「バランスド」というドライブ・モードを選んでおけば、コンフォートからダイナミックまで、すべての走りにクルマが対応して最適の状態を整えてくれるのだから、至れり尽くせりだ。

私は思わず、「技術による先進」ここにあり、と口に出しそうになった。あえて欠点を挙げるなら2tの重さくらい、か。時代の潮目に現れた、アウディの傑作車だと思った。



文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

■アウディS5アバント
駆動方式 フロント縦置きエンジン4WD  
全長×全幅×全高  4835×1860×1450mm  
ホイールベース 2895mm  
車両重量(車検証) 2030kg(前軸1100kg、後軸930kg)  
エンジン形式 V6DOHC可変ジオメトリー・ターボ  
総排気量 2994cc  
ボア×ストローク 84.5×89.0mm  
最高出力(+電気モーター) 367ps/5500-6300rpm(+24ps)  
最大トルク(+電気モーター) 550Nm/1700-4000rpm(+230Nm)  
トランスミッション 7段AT  
サスペンション(前) マルチリンク/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 245/35R20(オプション)  
車両本体価格(税込) 1060万円

▼エンジンTVにて動画も公開! こちらもご覧ください。



(ENGINE2025年8月号)
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