2025.07.18

CARS

これの公道仕様が欲しい! ランボルギーニ・テメラリオにGT3バージョンが

このテメラリオ“GT3”だけでなく、フェラーリでいうところの“チャレンジ・ストラダーレ”版も欲しい!

全ての画像を見る
ランボルギーニが、競技用モデルの「テメラリオGT3」を公開した。設計・開発から生産まで、一貫してサンタアガタ・ボロネーゼで行うレーシング・カーはこれが初めてだという。

ハイブリッドじゃない! 純内燃エンジンのレーシング・マシン!!


2024年登場したテメラリオは、ウラカンの後継にあたるランボルギーニのエントリー・モデル。当初からモータースポーツへの参加を念頭に置いて開発され、設計初期段階からレーシング・ユースを想定したエンジニアリングを積極的に組み込んだ、とされている。



ボディ・ワークはカーボン・コンポジット素材を用いて重量を削減しつつ、空力や吸気・冷却を最適化するデザインを採用。ノーズの先端にはボディ・ラインを損なわない補助ライトが、ボンネットには巨大なダクトが設けられた。また、整備性を高めるため、前後部分はそれぞれ一体化し、ボンネットやエンジン・カバー、リア・ディフューザーともども素早く脱着できる構造とした。フロントのライト類も、クイック・コネクタ・システムで接続される。



フロアはフロントの車軸より前方が2つ、車体中央とリア・ディフューザーがそれぞれ1つの4セクション構成で、中央部もジャッキアップでの交換が可能。効率を高めたラジエーターや、給油時の流量を増し、残量の把握も正確さを高めた燃料タンクも、レーシング・カー専用設計だ。

シャシーは市販バージョンのアルミ・スペースフレームをベースに、軽量化と簡素化を徹底しつつ、センター部にはFIA GT3の安全基準に準拠したロールケージを組み込んだ。前後サブ・フレームは市販車よりシンプルな構造で、素早い脱着を実現。



この部分を簡素化できたのは、パワートレインの変更があるからだ。国際GT3規程ではハイブリッドの使用を禁じていることから、不要となったフロント・モーターやリアのシステム・ユニット支持部が除去されているのである。

そのレギュレーションに合わせたパワートレインは、量産モデルがベースの4リットルV8ツイン・ターボ。立案時からレーシング・カーへの応用を視野に入れて内製開発され、フラットプレーン型クランクシャフトを採用したユニットには、軽量で高強度のチタン・コンロッドも組み込まれる。



最高出力はICE化により550psに。スーパー・スポーツの分野では電動パワートレインが普及しており、現レギュレーションのもとではレーシング・カーのほうが市販車より低出力という逆転現象が一般化することになりそうだ。

エアボックスは、レーシング・ユニットの小型ターボに適合する専用設計で、より広い回転域で最大性能を発揮するチューニング。排気系は、スーパー・スポーツや競技車両向けエグゾーストを手掛けるカプリスト製だ。トランスミッションは、横置き6段ギアボックスを搭載する。

サスペンションのサプライヤーは、耐久マシンのSC63 LMDhと同じくKWで、6ウェイ・ダンパーを初装着。マウント・プレートを用いて設置され、足まわりの交換時間を短縮している。ホイールは、ロナール製の18インチだ。

ステアリング・ホイールは、ファクトリー・ドライバーやカスタマー・ドライバーの意見を取り入れた自社開発品で、レース用に調整した油圧ラックへ設置。内装も過酷な走行状況を見据えてエルゴノミクスやレイアウト、操作性を追求し、スイッチ類やグラフィックを刷新したほか、データロガーの性能向上が図られた。



デビュー戦は、2026年3月のセブリング12時間耐久を予定しており、2026年シーズン中には開発フェーズを完了する見込み。

移行期間中はウラカンとの併走となるため、カスタマー・チームへの技術サポートも継続されるが、当初よりレース参戦を見越して開発されたテメラリオがどれほどのパフォーマンス向上を果たすのかが気になるところ。来季のランボルギーニの戦いぶりに注目だ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement