ケースはやはりトレンドの小径か。ブレスレットか、ストラップか、文字盤は定番の黒白青か中間色か、機械式ムーブメントは魅力的だがクォーツの精度と利便性も見逃せない。より柔軟・自由な”新基準=ニュースタンダード”によって、今の自分にふさわしい一本を選びたい。時計選びに悩んだときはENGINE時計委員のコメントをご参考に!
文字盤上で時・分・秒を個別に表示する時計の現代的解釈を追究するブランドが、満を持して送り出す最新作!クロノスイス パルス ワン
2025年に新シリーズとして誕生した「パルス ワン」は、12時位置に時針、センターに分針、その下部に大きな弧を描くレトログラード秒針を配置した独特のレギュレータースタイルにブランドのDNAを象徴しながら、最新デザインによってモダン・メカニカルを表現。
軽量で耐久性に優れたグレード5チタンを用いたケースと、ケース一体型ブレスレットは、クロノスイスでは初の試み。また、存在感を放つ立体ダイアルは、サンドブラスト仕上げのガルバニック4N(右「パルス ワン サンド」)と、CVDコーティングのブルー(左「パルス ワン ブルー」)の2種類。
自動巻き、自社開発キャリバーC.6001。55時間パワーリザーブ。ケース直径41mm、10気圧防水。サンドとブルー各100本限定。258万5000円。
正当・正統・正常進化 細田雄人ENGINEにて過去、原点回帰をしたクロノスイスを褒めちぎった記憶がある。「やはりクロノスイスはクラシカルじゃないと」、と。でも全く新しいデザインを提げて登場したニューコレクションは、これはこれでアリじゃないか。
ダイアルレイアウトや色使い、ブレスレットの作りなどにモダンな要素が散りばめられているが、これまでのファンを置いてきぼりにするようなアヴァンギャルドさもなく、あくまで正当・正統・正常進化という印象が強い。
ブレスレットまで含めてフルチタンの外装はいい意味で攻めているし、30秒毎にフライバックするレトログラード秒針は、ただただ、見ていて楽しい。近年のクロノスイスは、また新作が期待できるようになってきた。
自らが得意とするスタイルを貫徹 篠田哲生ファッションであれ、ライフスタイルであれ、周囲の意見に耳を貸さず、好きを貫き通す……。そんなブレないスタイルをもつ人に憧れる。
時計界においては、クロノスイスほどスタイルを持つブランドはないだろう。なにせ徹頭徹尾“レギュレーター”にこだわりぬいてきたのだ。時分秒針が独立しているレギュレーターは、視認性に優れた古典機構。時計界ではメインストリームではないが、それでもクロノスイスはさまざまなデザインを提案し、数十年もこのスタイルを貫く。
新作となる「パルス ワン」ではチタン製のケース&ブレスレットを採用し、ダイアルデザインもモダン。しかしレギュレーターである時点で、クロノスイスらしさは不変なのだ。
写真=宇田川 淳
問い合わせ=栄光時計 Tel.03-3837-0783
(ENGINE2025年9・10月号)