ポルシェが、新型911GT3Rを発表。2023年シーズンにデビューした992ベースのGT3マシンが、空力の改善や装備の拡充などを実施した。
より速く、より扱いやすく
一見してわかる変化は、フロント・フェンダーに追加されたルーバーで、空力を大幅な改善するという。抗力を強め、アンチダイブ効果を発揮するフロントのダブルウィッシュボーン・サスペンションと相まって、減速時にダンパーの圧縮を軽減するとともに、空力バランスの維持にも寄与。より正確で予期しやすいブレーキングを可能にする。

リアは、スワンネック・ウイングに4mmのガーニーフラップを追加。ダウンフォースを増強するとともに、空力バランスの調整範囲を拡大する。

アンダー・ボディは完全にカバーされ、後部には補強も施した。同時に、リアのマルチリンク・サスペンションはアンチスクワット効果を強め、ハードな加速時の沈み込みを減少させている。
また、カスタマー・チームからのフィードバックを反映したディテールの改善も実施。電動油圧パワー・ステアリングは、フルード冷却機構を追加。ニュルブルクリンクのように過酷なサーキットでも、十分な熱対策と安定した操舵力をもたらす。ホイール・ベアリングは、高強度で耐久性にも優れるセラミックを採用し、センタリング・ピンはドライブシャフトの取り付け工程を簡素化するよう改修した。

サイド・スカートには、ブレーキ冷却効率を高めるNACAダクトを設置し、車高を低く設定するモンツァやポール・リカールなどの高速サーキットでのスタビリティも向上する。あわせて、デイトナなどで重要となるリア・ブレーキ冷却システムのアジャストの正確さも増した。
ドライバーへの導風ベントにも手が入り、コックピットの空気循環を安定化。また、USBメモリーでデータ転送できるリモート・ロガー・ユニットを導入し、ラップトップPCを接続してデータを書き換える手間をなくした。
エンジンは、既存のGT3Rとほぼ同じ4.2リットル自然吸気6気筒。出力はレースやクラスに応じた性能調整が行われるが、最大時には565psを発生する。

価格は、本体のみで57万3000ユーロ(約9840万円)だが、既存の992型911GT3Rに対応するアップデート・キットが用意されており、こちらは4万1500ユーロ(約713万円)から。約60のキットを組み込み、新型と同仕様に仕立てることができるという。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)