2025.08.16

CARS

ランチア・デルタS4が40周年! ふたたびラリーの栄光へ動き出すランチア

あれから40年、ランチアがラリーの世界に帰ってきた!

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ランチアのグループBマシン「デルタS4」が誕生してから、2025年で40周年を迎える。

ランチアといえばやはりラリー!


1985年秋の英国RACラリーで、ヘンリ・トイヴォネンとニール・ウィルソンのコンビがWRCデビューウィンを飾ったが、競技への初参戦は7月、コッパ・イタリアのグラベル・イベントであるラリー・コッリーネ・ディ・ロマーニャ。マルク・アレンとイルッカ・キヴィマキが、2位に9分近い差をつけて優勝している。イプシロン・ラリー4 HFでラリーフィールドへランチアが復帰した2025年、このグループBの象徴的マシンの軌跡を振り返ってみよう。



デルタS4は、ラリーの歴史においてもっとも過激なカテゴリーというべきグループBで戦うために開発された。技術規程はゆるく、マニュファクチャラーにはエンジニアリングとパフォーマンスの限界を越えるための広範囲な実験的試みが許されていた。



S4の名は、スーパーチャージャーと4WDを示す。エンジンは1759ccの4気筒DOHCに、ターボとスーパーチャージャーを装着し、リア・ミドシップに搭載。最高出力は500psを超え、トルクは5000rpmで450Nm以上を発生したという。

イタリア製競技車両ではこれが史上初の4WD車であり、さらには最強レベルの戦闘力を秘めたラリー・カーでもある。



シャシーは鋼管スペース・フレーム、ボディ・ワークはケブラーとカーボン・ファイバーのハニカム・パネルを使用し、車両重量は966kgにすぎない。最高速度は250km/hに達した。

主な戦績は、WRCでは1985年のRACのほか、翌年は開幕戦のモンテ・カルロを含む4勝を獲得。イタリア選手権とヨーロッパ選手権では15勝を挙げ、ミッレ・ミリアやタルガ・フローリオ、コスタ・スメラルダといった伝統的イベントも征している。

1985年にWRCへ投入するべく製造されたオリジナルのデルタS4コンペティツィオーネのうちの1台は、ステランティスが擁するイタリアン・ブランドの歴史的なモデルを並べるトリノの展示施設、ヘリテージ・ハブに収蔵され、“ラリー時代”と題したエリアに並んでいる。



耐久レースでのタイトル3回、ミッレ・ミリアやカレラ・パナメリカーナ、2度のタルガ・フローリオでの勝利も輝かしい戦績だが、ランチアといえばやはりコンストラクターズ部門で最多の10勝を挙げているWRCでの活躍が光る。そしてデルタS4は、当時のラリー・フィールドにおいてもっとも先進的な技術を盛り込んだマシンだといえる。



そして、ヘリテージ・ハブにはもう1台、見逃せないクルマが展示されている。赤いデルタS4ストラダーレだ。1985〜86年にかけて生産されたそれは、デルタS4コンペティツィオーネを成立させるためのホモロゲーション・モデルで、FIA規程の最少台数である200台が製造されたのみだ。



そして現在のランチアはといえば、WRCのトップ・カテゴリーではなく、若手やプライベーターの参戦を想定したラリー4カテゴリーで戦う。



そのためのマシンが「イプシロン・ラリー4 HF」だ。最高出力212psのエンジンにサデヴ製5段シーケンシャル・ギア・ボックス、オーリンズ製調整式サスペンション、専用ブレーキ・システムを装備。若手の発掘を意図したワンメイク・シリーズのトロフェオ・ランチアも開催し、まさに“ラリーのランチア”という評判を、現代によみがえらせようとしつつある。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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