2025.08.18

CARS

かたや2億円 こなた6000万円 ともにタイプ964のポルシェ911を専門に手がけるアメリカの「シンガー」とイギリスの「セオン」という2ブランドを比較する!

これがイギリス流!? タイプ964のレストモッドを手がける「セオン」を知っていますか?

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ちょっと旧いポルシェ911のよさを、現代の路上においても存分に楽しむために、どこにどうやって手を加えるべきか? アメリカ・カリフォルニアの「シンガー」と、イギリスの「セオン」という米英2つのブランドを取材した自動車ライターが、現代化への手法の違いを探ってみた。

単なるレストアだけでなくモディファイも


クルマ好きの間で“ちょっと古いクルマ”や“ヤングタイマー”が注目されるようになって久しい。そこには、ある意味で画一化されてしまった最新モデルに対するアンチテーゼという側面もあるのだろうが、誕生してから一定の歳月を経た自動車を日常の足として使おうとすると、それなりの不便が生じるのも事実。



そのなかには、たとえばエアコンが効かないといった快適性に対する不満もあるだろうし、「オーバーヒートしやすい」「動力性能やブレーキ性能が不足している」といったパフォーマンス面での不満もあるだろう。



“レストモッド”は、そういったニーズから誕生した新しいクルマの楽しみ方といって間違いない。これは“レストア”と“モディファイ”をかけあわせた造語で、“ちょっと古いクルマ”をオリジナルに忠実にレストアするだけでなく、たとえばエンジンや駆動系を強化したり、シャシーに最新の技術を投入したり、内外装を自分好みにモディファイするといった作業が含まれる。

ポルシェ911のレストモッドはシンガーだけにあらず


このレストモッド業界で、いま世界的に評判となっているのがアメリカのシンガー・ヴィークル・デザインである。彼らはタイプ964のポルシェ911だけをレストモッドするショップ。最新のテクノロジーを用いてパワートレインやシャシーをチューンナップするほか、ボディ・パネルの大半を特別に製作したカーボン・コンポジット製に改めることで、個性溢れる美しさを表現。作業価格は簡単に1億円を越えるにもかかわらず世界中からオーダーが殺到し、年間100台ほどのレストモッドをこなしてもなお現在の納期はおよそ3年とされるほどの人気を誇っている。

シンガーの詳細と開発者へのインタビュー記事はこちら

シンガー・ターボ・クラシック試乗記事はこちら

私は2025年4月にカリフォルニアを訪れてシンガーが仕立てたターボ・クラシックに試乗するとともに、彼らの工房もあわせて見学してきたばかり。そんな私のもとに、今度はイギリスでタイプ964のレストモッドを専門に手がけるセオン・デザイン社のプレゼンテーションを受ける機会が巡ってきた。



クルマを試乗したわけでもなければ工場を訪ねたわけでもない。ただ、創業者であるアダム・ホーリーの説明を聞き、いくつかのことについて質問をしただけだが、それでもセオンがどんなレストモッド車両を作っているのか、なんとなく理解できた。そこで、ここではタイプ964の911を専門に手がける米英の2ブランドを“脳内比較”し、それぞれの特徴について紹介することにしたい。



もっとも、どちらもタイプ964をベースモデルとして用いていることからもわかるとおり、大雑把にいえばシンガーのレストモッドもセオンのレストモッドもよく似ている。そのプロセスにしても、ベースとなる911をいったんホワイト・ボディの状態までストリップ・ダウンしたうえで、排気量3.6リットルのフラット6を最新の技術でリビルド+チューンナップし、シャシーを最新のスペックでまとめあげてから、顧客の要望にしたがって内外装をモディファイするというもので、大枠でいえばまったく変わらない。

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