2025.09.13

LIFESTYLE

狭い旗竿地に理想の我が家を建てる方法とは? 雰囲気のある家具や照明がつくり出す素敵な部屋 家のたたずまいが美しい!

施主が建築家に依頼した家のテーマは「イタリア人男性の家」。静かな桜の並木道の奥の旗竿地に建てられた地下1階、地上2階建の一軒家とは、どんな家なのか?

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建築家は戦友

設計プロセスは、Aさんと村田さん夫妻の共同での作品作りといったら分かりやすいだろう。前述した「イタリア人男性の家」というテーマに加え、Aさんはディテールへの明確な要望を数多く持っていた。村田さん夫妻は、それを踏まえたうえで、建築家としてのアドバイスを加えてプランを提案。Aさんがさらに意見を加え、村田さん達がまた折り返してと、百回近いキャッチボールが繰り返された。このやり取りの最中、快適な広さを確保するため、まだ売れ残っていた隣地から、15 cmの幅の土地を譲ってもらうこともあった。わずか15cmだが、ここまでこだわったことで、目指した家が完成したのである。それゆえ、村田さん夫妻は「長年の戦友のような存在です」とAさんは話す。

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地下1階の主寝室。部屋の入口から正対するのは、対角線上の部屋の角。カラフルな家具は、OLD IKEA。

家の形は、正方形に近い長方形。玄関から奥の螺旋階段まで、対角線を結ぶように廊下が設けられ、その両側に二つの寝室が配されている。部屋も、入口から対角線に視線が延びる、広さを感じるレイアウトだ。古着好きのAさんのため、主寝室には大きなウォークイン・クローゼットが用意された。

螺旋階段を上がると、一部が吹き抜けになったリビング・ダイニング・キッチンにたどり着く。隣家が迫っているが、開口部が数多くとられた明るい空間だ。その上の階は、屋根の傾きがそのまま現れた形のアトリエ。下階のダイニングルームと、一部の空間が繋がっている。

2階のアトリエ。デスクの先は吹き抜け。

個性的な家具の多くは、以前のヴィンテージ・マンションの時代から使っていたもの。特別高価なものではないが、インテリアのテーマが予め決まっているので、統一感がある。照明類は、海外で入手したものや、使う予定なく購入したものもあるが、設置場所を予め決めて家を設計したので、配線が表に出るような無粋なことはない。こうして唯一無二の空間ができあがった。

この家が完成して6年。気持ちよく暮らしているAさんは、自邸ができて、「さらに建築・インテリアへの関心が高まった」と話す。「年齢を重ねてから、もう一度家を建てられたら良いですね。その時も、是非村田さんたちに設計をお願いしたいものです」

文=ジョー スズキ(デザイン・プロデューサー) 写真=田村浩章

■人気連載「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」の記事一覧を見る!



■建築家:村田裕紀(岡山県出身)、優花(茨城県出身)。共に1983年生まれで、琉球大学工学部環境建設工学科卒業。アトリエ系建築事務所勤務の後、自分たちの建築事務所、MUKAVATOR(I ムカバトリ)を設立。事務所名は、フィンランド語のMUKAVA(快適な)とTOR(I 広場)を組み合わせた造語。戸建住宅、マンションリフォーム、集合住宅、店舗、オフィスなどを中心に手掛ける。写真は、独特の造形センスが窺える「ノコシマの家」。


建築家:村田裕紀(岡山県出身)、優花(茨城県出身)。共に1983年生まれで、琉球大学工学部環境建設工学科卒業。アトリエ系建築事務所勤務の後、自分たちの建築事務所、MUKAVATOR(I ムカバトリ)を設立。事務所名は、フィンランド語のMUKAVA(快適な)とTOR(I 広場)を組み合わせた造語。戸建住宅、マンションリフォーム、集合住宅、店舗、オフィスなどを中心に手掛ける。写真は、独特の造形センスが窺える「ノコシマの家」。

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(ENGINE2025年9・10月号)

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