2024.01.01

LIFESTYLE

「朝、シャワーを浴びて、そのままの格好で冷蔵庫から取り出したオレンジジュースを持って庭に出て、海を見ながら飲める家」の設計を依頼したらこうなった! いったい家はどこにある?

丘のようなS邸。植物は自然な雰囲気が出るような手入れがされている。

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、一見しただけだとただの丘に見える、驚きの家。海の音が心地よく耳に響きわたる静岡県の海沿いの町。風光明媚なこの土地に、ベンチのある小さな丘を見つけた。だがこの丘、よくよく見ると右側にエントランスがあり、そこから中に入ってみると……。ご存知、デザインプロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

強い風が吹く沿岸部の地域に


静岡県中部の、Sさん(49歳)一家のお宅。普通、家と言えば大抵それらしい形をしているが、S邸の場合、通りから見えるのは高さ2m半ほどの小さな丘のみ。アメリカの家のように道路と敷地の間に柵はなく、芝草が生えた斜面が、上の写真でSさん親子が腰掛けている、ベンチのある丘の上まで続いている。敷地右手に無造作に敷かれた荒々しい石が、通路となって丘の内部へと向かう光景は、どこか古墳のよう。奥にある扉の向こうでSさん一家が楽しく暮らしている姿は、とても想像できないだろう。S邸は、土に埋まった家なのだ。

ここは沿岸部に強い風が吹く地域。サーフィンのメッカとして知られ、近年は遠方から移住してくるサーファーも多い。地形も独特で、海と陸の境は、道路1本分ほどの平地しかなく、いきなり斜面になっている。多くの人が暮すのは、斜面の上の台地だ。

玄関の扉を開けると、向こうに海が見える。入口脇の樹木は自然に生えてきたもの。


台地の上の海の家


S邸があるのも、その台地の上。会社役員のSさんは、ここからクルマで30~40分の距離の職場に通っている。敷地は、入口のある北側で幅5mの道路に接し、間口は20mで奥行きが60mほど。土地は南側の海に向かって緩やかに下っており、海に近いエリアは茂みになっている。

Sさん夫妻は、上の子供が生まれるタイミングで、家作りの準備を始めた。奥様はこの地域が地元で、Sさんも近隣の生まれ。彼女の希望が「海の見える家」だった。設計を依頼したのは、このエリアを中心に多くの家を手掛ける、川本敦史さんとまゆみさん夫妻が主宰するエムエースタイル建築計画(通称・エムエー)。土地を探している時期に出会った気になるデザインの家はどれも、エムエーが手掛けていたからだ。

リビングからでも、海の音が聞こえる。


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