時計に使われているケース(外装やブレスレット)素材には、さまざまな種類がある。高級時計で多く使われているのがステンレスやチタンなどの金属。その他にも、ゴールドやプラチナなど貴金属も使われている。また、ケースやブレスレットにセラミックも採用するケースも増えてきた。これらケースやブレスレットの素材は、見た目だけでなく、着け心地および実用性にも影響する。
では、時計の外装(ケースやブレスレット)に使われている素材には、どのような特徴があるのだろうか。今回は、高級時計の基礎でもあるケースやブレスレットなど外装に使われている素材についてまとめて紹介しよう。
広く使われている「ステンレス」や「チタン」などの金属
高級時計に限らず、さまざまな時計に使われている素材が、ステンレス(SS)やチタンなどの金属だ。

これら金属は、耐久性に優れているだけでなく、強度が高く、錆びにくいことが特徴だ。そのため、実用時計の素材として多く採用されている。また、チタンは、ステンレスよりも軽量かつ金属アレルギーを起こしにくいのもポイントだ。
このような特徴があることから、初めて高級時計を手にするときは、このあとに解説する貴金属よりも、ステンレスやチタンといった実用性に優れる素材を使っているモデルがおすすめだ。

ちなみに、ステンレスには「SUS316L」や「SUS904L」、チタンには純チタンの「グレード2」やチタン合金の「グレード5」などがある。同じ「ステンレス」や「チタン」と言っても、実はさまざまな種類があるのだ。これらの違いは、また別の機会に詳しく解説する。
ゴージャスな「ゴールド」や「プラチナ」などの貴金属系
ゴールドやプラチナなど宝飾品に使われる素材が、時計のケースやブレスレットに使われていることもある。これら貴金属系は、“ザ・高級時計”という印象を与える素材だ。また、貴金属がケースやブレスレットなど外装パーツのほとんどに使われている場合と、ステンレスと合わせて使われる(「コンビ」と呼ばれる)場合がある。

貴金属は、その素材そのものの価値が高く、ステンレスやチタンと比べると時計そのものの重量も重くなる。これだけを聞くと、「着用しにくいのでは?」と思われるかもしれないが、高級時計の中には着用感にこだわっているブランドやモデルもある。このような着用感も考慮されているモデルであれば、着けにくいと感じることはないだろう。むしろ、貴金属ならではの心地よい重量感の虜になるオーナーもいるくらいだ。
また、ゴールドは、ステンレスやチタンなどよりも柔らかい金属であるため、純金(24K)をそのまま時計にするのは難しい。そのため、その他の金属を混ぜ合わせて純度75%の18Kにしているケースが多い。この18Kでできたゴールドは、「金無垢」とも言われている(本来は24Kの純金が金無垢だが、時計業界においては18Kを金無垢と呼んでいる)。

さらに、ゴールドには、「イエローゴールド」、「ピンクゴールド(ローズゴールド等)」、「ホワイトゴールド」など複数の種類がある。いずれも「ゴールド(金)」をベースとしているが、先述したように、金に混ぜ合わせる金属の種類や量によって色調を変え、ピンクゴールドやホワイトゴールドなどを作っている。ちなみに、それぞれのゴールドの色合いや名称は、ブランドによって異なる。これらを調べたり知ったりするだけでも面白い。
高い耐久性で美しさが長続きする「セラミック」
セラミックは、時計のケースやブレスレットのほかに、ベゼルにも使われることがある素材で、金属および貴金属よりも軽量かつ硬度が高い。また、さまざまなカラーを展開することができるのもセラミックの特徴だ。もちろん、金属ではないため、金属アレルギーを起こすことはない。
高温で焼き上げて形成するセラミックは、製造コストが高くなりやすいが、非常に硬い素材であるためキズ付きにくく、長期にわたってその美観を保つことができる。
ただし、焼き物であるため、落としたりぶつけたりすると割れる可能性がある。とはいえ、時計に使われているセラミックのほとんどが実用面にも考慮されているため、過度に割れることを心配する必要はない。

ちなみに、ロレックス GMTマスター2に使われているセラミックベゼル(セラクロムベゼル)は、1枚のセラミック製ベゼルに2つの色を着色している。実は、これが凄い技術なのである。
一般的にセラミックでツートーンのパーツを作る場合、それぞれ着色したパーツを繋ぎ合わせることが多い。しかし、ロレックスは1枚のセラミックで2つの色を付けるという技術を確立。また、2つの色の境目がクッキリわかれているのもポイントだ。ぼやっとした境界線ではなく、パリッとした境目になっている2色一体ベゼルは、実は凄い技術の塊なのだ。
素材の特徴や違いなどを知ると自分に合った時計を探しやすくなる
ここまで時計のケースやブレスレットなど外装パーツに使われる素材の特徴をまとめて紹介してきた。これら素材の特徴や違いを知ると、自分のライフスタイルに合う時計の素材がわかるようになる。

時計探しをするときは、時計を使うシーンやライフスタイルに合う素材がどれかという視点も含めて絞り込んでみると、自分にピッタリの時計を見つけることができるだろう。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)