ランボルギーニは米国モントレー・カー・ウィークにて、わずか29台のみ生産される究極のフューオフ(ごく少量生産)モデル 「フェノメノ」 を世界初公開した。V12ハイブリッドを搭載し、最新のテクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれた未来のランボルギーニを占う存在でもある。そのワールド・プレミアに立ち会った自動車ライター・西川淳が、会場の熱気と興奮、そして首脳陣の本音を現地からリポートする!
イタリアからやってきた新型車
予定の9時38分を過ぎても“会”はなかなか始まらなかった。朝からの曇天模様(ここではよくあることだ)は、少し前からまさに目も覚めるような青の晴天に変わりつつある。お日様までが、イタリアはサンターガタ・ボロニェーゼからはるばるやってきた新型車の披露を待ち侘びているのだ。真っ白なステージの真ん中にはベールを被った背の低いクルマがあり、周りにはもう小一時間も前から人だかりができていた。
ステージ脇には首脳陣がそれぞれに握手を交わしつつ笑顔で談笑している。これからアンベールする新型車に対する彼らの自信のほどが伺える。

今年も主役はランボルギーニ!?
予定より10分ほど遅れてアナウンスが会場に響き渡った。
「これよりランボルギーニのブースにてカンファレンスを行います」
ペニンシュラ・グループの運営するゴルフリゾート「ザ・クエイル」。カーメルからクルマで5分ほどの好立地で、昔からモントレー・カー・ウィークでは有名なイベント会場だが、「モーター・スポーツ・ギャザリング」という名の催しは今年で22回目である。
そもそもはクラシックなレーシングカーやスポーツカーの集いであったけれど、その並外れた集客力に目をつけた世界のラグジュアリー・ブランドがこの場所を新型車のワールドプレミアの場、つまりはモーターショー的に使い始めて久しい。ランボルギーニもそのひとつだ。
昨年はテメラリオを、一昨年はBEVコンセプトのランザドールを発表した。そして今年、2025年というちょっとした記念の年にも新型車を持ち込んだと言うわけだった。

フューオフ(ごく少量生産)モデルの名はフェノメノ
ランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマンが登壇する。ひとしきり北米マーケットの重要さを述べたあと、いつものように「フォルツァ ランボルギーニ」のひと言でコメントを締めると、開発部門の責任者であるルーベン・モールとデザイン部門のトップ、ミィティア・ボルケルトを壇上に呼んでアンベールを指示した。
「新しいフューオフ・モデル、フェノメノです」
フェノメノとはスペイン語、イタリア語ともに使われ、“並外れた”とか“度肝を抜く”といった卓越の本性を意味する単語だ。もちろんこのブランドの伝統に則り、過去には闘牛の名前として使われてもいる。

25年はチェントロスティーレ(デザインセンター)の20周年であり、ポロストリコの10周年であり、そしてステファン・ヴィンケルマンがランボルギーニのトップとなって20年(途中数年のブレークもあったが)でもあった。