2025.12.19

CARS

60年のグランドフィナーレ!総合4位にランクインした誰もが一度はハンドルを握りたいサルーンとは?【2025年買いたいクルマBEST 20】

ボーフェンジーペン家による現体制のアルピナのラストイヤーを飾るB3GT。

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ランキングの常連のこのクルマも現体制ではこれが最後。46名のジャーナリストと編集部員、そしてEPC(エンジン・プレミアム・クラブ)会員が加わって、2025年の今だからこそ買いたいと考える20台にポイントをつけて投票し、新車で買える注目の100台を選んだ。総合第4位にランクインしたのは絶品の乗り味のこのクルマだ!

第4位! BMWアルピナB3 GT/D3 S(ツーリング含む) 279pt

ついにBMWアルピナのラスト・イヤーとなった今年、その集大成モデルが3位のポルシェ911に僅差でHOT4にランクインした。



「この杯を受けてくれ どうぞなみなみ注がせておくれ」

フィナーレが近づいた今、しみじみと思う。本当はもっと上位でもいいのにと個人的には感じるが、HOT100では鉄板のスポーツカー御三家に次ぐ総合4位は立派である。

それにしてもまことに見事な幕の引き方ではないだろうか。3年前にBMWへのブランド譲渡を発表してからも、最後だからと言って派手なファイナル・エディションを連発するわけでもなく、いつものように粛々と高性能かつエレガントなモデルを少量送り出してきた。

アルピナ60年の歴史の集大成としてのB3/B4GTは(内外装にゴールドの差し色があるけれど)これまで以上に高性能ながら(529psと730Nm)相変わらず控えめな出で立ちである。クルマ好き以外には0- 100km/h加速3.4秒、最高巡航速度308km/hの高性能車にはとても見えないはず。



加えてきわめて上質な乗り心地がアルピナの真骨頂。「アクセルペダルに対する反応は実にジェントル。踏み込めば頭打ちを感じない加速。ストローク感溢れるサスペンションは後席のお客さまも満足させられる」との菰田委員の意見や、新井委員の「M3に勝るとも劣らぬ卓越した性能をベルベットで包み込んだかのように上質に感じさせるのはアルピナならでは。これまでの功績に感謝」というコメントにアルピナの魅力が集約されている。

念のためちょっとだけ復習すると、アルピナ(正式社名は「アルピナ・ブルクハルト・ボーフェンジーペンGmbH+Co.KG」、車名はBMWアルピナとBMWがつく)は、1965年にBMW1500用のキャブレターの開発からスタートし、歴代のBMW各車をベースにきわめて端正で高品質、そして高性能なモデルを作り続けて来たユニークな自動車メーカーである。

BMW「M」やメルセデスAMGとは異なり、一貫してアルピナはBMW本体との資本関係を持たず、それでいながら緊密な協力関係を維持してきたのが特徴的だ。

年間生産台数は最大でも2000台程度であり、本家の「M」(昨年は20万台余り)やAMGとはケタが二桁違う。その規模で長年独立性を維持し、世界的な名声を築いてきたことがアルピナの凄さである。

2代目のアンドレアス・ボーフェンジーペン(創業者ブルクハルトの息子)に何度か尋ねたことがあるが、自動車界の激変期の中にあっては、従来のままのビジネスを続けるのは難しいと判断したという。



確かにエアファンネルとクランクシャフトを描いたエンブレムを、電気モーターで走るアルピナ車にそのまま貼り付けることはできない。寂しいことに違いはないが、事前に出処進退を明らかにするのはむしろ責任感ある振る舞いだろう。

いつかは手に入れたいと憧れながら結局手が届かなかった悔いは残るが、さよならだけが人生ではない。

来年からBMW傘下のブランドとして再出発するアルピナが、編集部随一の若手村山委員が言うように「M3よりアンダーステイトメントなアルピナB3が似合う紳士になりたい。新生アルピナにも、そんな憧れを持ち続けたいという願いを込めて」というものであってほしい。

文=高平高輝 写真=神村 聖、小林俊樹(リア)

■BMWアルピナB3 GT/D3 S
全長×全幅×全高=4725×1827×1440mm。ホイールベース=2851mm。車両重量=1875kg。3リッター直列6気筒ビ・ターボは最高出力529ps/6250~6500rpm、最大トルク730Nm/2500~4500rpmを発生、8段ATを介して4輪を駆動する。車両価格=1650万円(B3 GT リムジン)。

■BMWアルピナB3 GT/D3 Sには17人が投票!
279pt/菰田20pt+高平20pt+田中20pt+武田19pt+新井18pt+佐藤18pt+竹花18pt+藤野17pt+斎藤(聡)16pt+西川16pt+九島13pt+関11pt+村上11pt+金子10pt+藤島10pt+吉田8pt+村山7pt+EPC27pt

■B3 GT/D3 Sに投票した上位5名のジャーナリストの「マイホット20」はこちらでチェック!

「これぞ芸術品と呼ぶに相応しい!」菰田潔
高平高輝が1位に選ぶ、今しか買えないクルマとは?
「これぞクルマの模範解答!」田中誠司
「まだギリギリ新車で買える!」武田公実
「試乗した時から1位はこれだと心に決めていた!」新井一樹

(ENGINE2025年9・10月号)

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