【全3回の2回目】
ポルトガル・リスボン近郊、エストリル・サーキットで開催された新型テメラリオの国際試乗会。ENGINE編集部の佐藤玄が、現地で行われた開発責任者ルーベン・モール氏のワークショップに参加し、テメラリオのパワーユニットやシャシーに込められた技術と思想をじっくり取材してきた。
第2回のエンジニア篇では、モール氏が開発哲学の原点として語ったホンダS2000への想いなど、テメラリオの走りの中核に迫る内容をお届けする。
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第1回の試乗篇では【1万回転に迫る! 新型ランボルギーニ・テメラリオV8ハイブリッドをポルトガルで体感する【動画あり】】では、ENGINE編集部の佐藤玄がテメラリオの真のポテンシャルを体感した試乗インプレッションをお届けしている。
なぜV8ツインターボで1万回転を目指したのか?
「まず決めたのは、エンジンをターボにするということでした」
ランボルギーニ開発責任者ルーベン・モール氏は、そう語る。新型テメラリオのパワートレインは、V8ツインターボ・エンジンと3基の電気モーターを組み合わせた新アーキテクチャで構成されており、その狙いは明確だった。
「既存のエンジンとどう違うのか? なぜそれをランボルギーニがやるのか? 私たちは模倣を良しとしません。“反逆者”であり続けることが、このブランドのDNAなんです」


だからこそモール氏は、過去の自然吸気エンジンと同じような高回転の快感を、まったく新しい形式で再現することを目指したと言う。結果として完成したのが、最高出力800psを9000~9750rpmで発生し、最大10250rpmまで吹け上がる、これまでにない高回転型ターボユニットだ。
「7000rpmを超えてから本当の面白さが始まるんです。でも多くの人はその前にシフトしてしまう。そこが、惜しいんですよね」
さらに、このV8ツインターボは、ランボルギーニとして初めてホットV構造を採用。2基のターボチャージャーをシリンダーバンクの内側に配置することで、熱処理の効率化とコンパクトなパッケージングを実現している。潤滑方式には、レーシングカーと同様のドライサンプを採用。エンジン内部には軽量で高剛性なパーツがふんだんに使われ、モータースポーツ譲りの性能が随所に息づいている。
「このエンジンはパワーやレスポンスだけでなく、環境性能まで徹底的に追求しています。アメリカで最も厳しい排ガス基準のひとつ、BIN50規制にも適合しているんです」とモール氏は自信をのぞかせる。
