2025.08.26

CARS

ホンダS2000がくれた“走りの刺激”! 開発者が明かした新型テメラリオ高回転V8と日本車スピリット

エストリル・サーキットで開催された試乗会で、開発責任者ルーベン・モール氏のワークショップに参加。テメラリオのパワートレイン哲学や、彼が語るホンダS2000への想いから、走りの核心に迫る。

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エンジンの“音”も哲学である

ランボルギーニにとってエンジンのサウンドは、単なる副産物ではなく、性能の一部として設計されている。新しいV8エンジンは、レーシングカーにも使われるフラットプレーンクランクを採用しているのが大きな特徴だ。

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フラットプレーンクランクとは、ピストンの動きを直列4気筒を二つ並べたように配置する方式で、回転が軽く、1万rpm近くまで一気に吹け上がる鋭さを実現するもの。その結果、サウンドは重低音よりもレーシーな金属的高音となり、まさに走りの切れ味を耳で感じさせる仕立てになっている。

モール氏は「エンジンの回転に合わせて生まれる細かな振動をあえて活かし、シートを通じてドライバーの身体に直接伝わるように設計しました」と語る。回転が1万rpmに近づくにつれ、その音と振動は波のように大きさを増し、ドライバーの胸を強く揺さぶってくるというわけだ。

つまりテメラリオは、速さや加速力だけでなく“音”そのものを哲学として設計している。耳で聴き、身体で感じ、全身で味わう。その響きは単なる機械音を超えて、ランボルギーニらしい情熱を、走りの体験そのものへと昇華させている。






ランボルギーニ開発陣は日本車好きが多い!

ランボルギーニの開発陣には、日本車や日本のモーターカルチャーに深い敬意を抱く人が少なくない。

モール氏は情熱の原点としてホンダS2000挙げ、そして最近これを手に入れたこと、デザイン部門責任者ミティア・ボルケルト氏が日本製スーパースポーツ・バイクから大きな影響を受けていること──その事実は単なるエピソードにとどまらず、彼らのクルマづくりの根底に流れる情熱の源を示しているように思えた。

異なる文化に敬意を払い、そこから学び、自らの哲学に取り込んでいく姿勢。だからこそテメラリオには、速さや美しさを超えて、国境を越えた魅力が息づいているのだと強く感じさせられたのだった。

第3回目のデザイナー篇【日本のバイクが原点!?  新型テメラリオ、ヘキサゴンが描いた次世代スーパーカーの造形美】では、日本製スーパースポーツ・バイクに影響を受けたというテメラリオのデザイン美について、デザイン部門統括責任者ボルケルト氏が語っている。


■ランボルギーニ・テメラリオ

駆動方式 ミドシップ+4輪駆動
全長×全幅×全高 4706×1996×1201mm
ホイールベース 2658mm
トレッド(前/後 1722×1670mm
車両重量 1690kg
エンジン形式 V8DOHC32+ツインターボ+モーター
総排気量 3995.2cc
最高出力 800ps/9000-9750rpm
システム合計出力 920ps/-rpm
最大トルク 730Nm/4000-7000rpm
変速機 8段DCT
サスペンション(前/後) ダブルウイッシュボーン 
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク
タイヤ(前/後) 255/35 ZR20/325/30 ZR21
車両本体価格(税込) 未発表



文=佐藤 玄(ENGINE編集部) 写真=佐藤 玄/ランボルギーニ S.p.A

(ENGINE Webオリジナル)

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