2025.09.04

CARS

性能もハンドリングもF1に劣らない ヤン・ラマースがロータス「タイプ79」と「エヴァイヤ」で聖地を走る!

ロータス旗艦BEVは往年のF1マシンを凌ぐパフォーマンスとハンドリングの持ち主。

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ロータスが、F1オランダGPに合わせ、開催地であるザントフォールト・サーキットでかつて勝利した往年のマシン、「タイプ79」を本拠地ヘセルで走らせた。

往年のF1とハイパーEV、エヴァイヤが共演


コックピットに収まったのは、ザントフォールト出身の元F1ドライバー、ヤン・ラマースだ。



へセルのテスト・コースに現れたタイプ79は、1978年にマリオ・アンドレッティがオランダGPを制し、ドライバーとコンストラクターのWタイトル獲得を確かなものにしたマシン。



黒地に金のJPSカラーは、ロータスのF1での黄金期を思い起こさせる。



なお、この翌年にはラマースも、タイプ79でテスト走行をおこなっている。ちなみにロータスは、オランダGPで1963年からの3連覇を含め6度優勝し、この地でもっとも成功したと言えるメーカーだ。



この3連覇に加え1967年にも勝利し、このコースの最多勝記録を樹立したのはジム・クラーク。彼はタイプ33で1965年のワールド・チャンピオンに輝くが、同年にインディ500も勝つという比類ない偉業を成し遂げている。そのほかの2勝は、1970年のヨッヘン・リント、そして1978年のマリオだ。

ロータスは、F1の世界においても革新的な技術を、他に先駆けて導入してきた歴史を持ち、それらの多くは今や当たり前のものとして使い続けられている。



たとえば1957年には、シーケンシャル・ギアボックスを初導入。1966年のエンジンを応力担体として用いたシャシーや、1979年のリア・ディフューザー、1981年のカーボン・モノコックなどが代表的だ。マシンにスポンサーロゴを入れるのも、ロータスが先駆けである。

しかし、もっとも知られているイノベーションは、グラウンド・エフェクトと呼ばれる空力テクノロジーだろう。車体下の気流を加速させることで、マシンを路面へ効果的に吸い付かせるものだ。タイプ78で導入されたそれは、タイプ79で完成を見た。



1978年のスパ・フランコルシャンでデビューしたタイプ79は、マリオ・アンドレッティによりトップ・チェッカーを受け、このシーズンにはさらに5勝を挙げた。オランダGPでマリオが優勝したのは先述のとおりだが、これはチームメイトのロニー・ピーターソンとの1-2フィニッシュだった。

1979年10月24、25日、ポール・リカールでのテストに参加したタイプ79は、マルティニ・カラーに装いを変えていた。ラマースはシート獲得を目指して走らせたが、マリオの相棒に選ばれたのはイタリア人ドライバーのエリオ・デ・アンジェリスだった。

コリン・チャプマンの息子であるクライブ・チャプマンが率いるクラシック・チーム・ロータスは、このポール・リカールで走った仕様ではなく、伝説的なザントフォールトでの1-2フィニッシュを想起させる黒いマシンを用意した。



それにも増してラマースを驚かせたのは、テスト参加時に彼が記した手書きのメモが、大切に保存されていたことだ。



さらにラマースは、ロータスのハイパーEV、エヴァイヤもドライブ。最高出力2039psを発生する世界最強の量産EVは、0-100km/h加速が3秒未満、最高速度リミッターは350km/hに設定されるという、驚異のスペックを誇る。



これら2台を走らせたラマースは、現代の電動ハイパーカーを、当時最高のF1マシンと比較して「パフォーマンスもハンドリングもいずれ劣らぬもので、自動車産業全体の進化ぶりを示すものだ」と感想を述べている。

とはいえF1を離れて久しく、いち早く表明した電動化も世界的な逆風に晒されているロータスは、かつてほど輝いているとは言い難いのが現状。



大手メーカーの多くがEV戦略を見直す昨今、へセルも戦略を修正し、エリーゼのようなライトウェイト・スポーツの再登板を決断すれば、栄光を取り戻せるのでは? と思うのは、ビジネスに疎いスポーツカー・ファンの妄想だろうか。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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