24年の時を経て、今年9月に復活したホンダ・プレリュード。エンジン・ウェブでは、かつて1980年代に一世を風靡した元祖「昭和のデートカー」が、「令和のデートカー」として2025年のいま、甦ろうとしていることに大注目。
すでにデザイン説明会でのリポートなど、さまざまな情報を掲載してきたが、このほど伊豆のサイクルスポーツセンターで開かれた先行試乗会で、ついにその走りを試すことができた。果たして、「令和のデートカー」はどんな乗り味を持っているのか。総編集長のムラカミが報告する。
グライダーのような走り
先行試乗会の会場となったのは、静岡県伊豆市にあるサイクルスポーツセンター。1周約5キロのロードコースを3周×2セットの計6周だけ走らせてもらうことができた。短い試乗時間ではあったが、このクルマの走りの新しさを体感するには、十分なものだったと言っていいだろう。結論から言ってしまうと、この「令和のデートカー」は、これまで体験したどんなスポーツカーとも違った、「新感覚スポーツ」としか言いようのないような独特な乗り味を持っていた。
ホンダの開発陣は、大空を自由にどこまでも飛べるグライダーを発想の原点として、新型プレリュードをつくったというが、なるほど、グライダーのような走りというのはこういうことか、と思わず膝を叩いてしまうくらい独自な乗り味を、走り出してすぐに感じ取れるようになっていたのだ。



2ドア・クーペの大きなドアを開け、低いドライバーズ・シートに腰を下ろす。目の前には、フロントガラスを通して、素晴らしく見晴らしのいい風景が広がっている。左右のフェンダーが盛り上がっているので、車両感覚も掴みやすい。メーターパネルやセンターコンソールのデザインはシンプルでスイッチ類も少なめでスッキリとしており、このあたりもグライダーを意識していることを感じさせる。
スポーツカーがお手本にするコクピットといえば、まずはジェット戦闘機というのが相場だが、そこをあえて、エンジンも持たないグライダーと言ってしまうところに、この新型プレリュードの新しさがあるのだろう。
基本的に電気自動車
スタート・ボタンを押してシステムを起動する。フロントに横置きされる2リッター直4エンジンは、この時点ではかからない。そのままドライブ・セレクト・ボタンをDにしてアクセレレーターを踏み込んでいくと、そのままフロントのエンジンの脇に取り付けられたふたつの電気モーターを使って前輪が駆動して走り出す。
この時、メーターパネル内には「EV」の文字が緑色に点灯している。完全な電気自動車として、リアシートの下に置かれたリチウムイオン・バッテリーから供給される電力で走っているわけだが、この状態で走れるのは、頑張ってもせいぜい数km。私の運転では1kmも行かないうちにエンジンが始動した。その時の時速は18km/hくらい。

そこからはハイブリッドになるわけだが、それではエンジンと電気モーターの両方を動力源として走っているのかというと、そうではない。エンジンはあくまで発電に使われているだけで、その後もずっと動力源としては電気モーターだけで走っているのだ。つまり、このクルマは基本的に電気自動車で、エンジンを動力源として直接使うのは、高速道路などを巡航する際に直結モードになる時のみ。
しかし、この日のサイクルスポーツセンターのコースでは直線が短く、残念ながら直結モードにはならなかった。つまり、6周のあいだ、ずっと電気で走っていたことになる。