2025.09.20

CARS

ファントムの歴史を物語る5台とは? 古のロールス・ロイスたちが英グッドウッド・リバイバルへ

この100年、いつもファントムは特別だった!

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ロールス・ロイスが、クラシック・カーの祭典である英グッドウッド・リバイバル2025に、歴史的なファントムを出展した。

誕生から100年、常に高級車の代名詞だった


1925年、「シルバー・ゴースト」こと「40/50HP」の後を受けファントムが登場し、2025年で誕生100周年を迎えることを記念したものだ。



エアロドローム・ローンに並んだファントムは5台。まずはザ・ファントム・オブ・ラブこと初代ファントムのブロアム・ドゥ・ヴィル。クラレンス・ウォーレン・ガスクのオーダーで1926年に製造され、ウールワース家の相続人でもある夫人のモードへ贈られた。







18世紀フランスの歴史やデザインに傾倒したモード夫人の情熱へのオマージュが込められ、内装には特注のオービュッソン織タペストリーをはじめ、手描きの天井画や金箔を張った装飾、フランス製の金メッキの時計やポースリンの花瓶を配したドリンク・キャビネットなどを備え、さしずめ王侯貴族の馬車といった趣に仕立てられた。



続いては、2代目のコンチネンタル・ツーリング・パーク・ウォード。ファントムIIコンチネンタルは、ヘンリー・ロイスが自分のために製作した、コンパクトでスポーティなファントムIIの試作車を商品化したもの。高速での長距離ツーリングを意図したそれは、重量や空気抵抗を意識した数少ないファントムだ。

展示されたシャシー・ナンバー92PYは、生涯で16台のロールス・ロイスを乗り継いだアメリカの実業家、A.Y.ゴーウェンが発注したもの。欧州で走らせることを前提に、サンルーフと、黄色く染色したサンバイザーが装着されている。

フレデリック・ウォーレン・パール少佐が1937年にオーダーしたファントムIIIは、数多くのオーナーに乗り継がれたクルマで、一度は大西洋を越えアメリカへ渡ったが、1989年には帰国。現在のオーナーは1995年に入手し、徹底したレストアで美しい姿を甦らせた。



歴代モデルの中でも、とくにレアなのがファントムIV。1950〜56年の間に生産された台数はたった18台で、ほとんどが世界各国の王室や国家元首へ納められたが、今回のランドーレット仕様はロールス・ロイスが自社用に製作したものだ。

シャシーは同時期のシルバー・レイスより約60cm長く、エンジンは新設計の直列8気筒。





現在でも英国王室は、ロイヤル・ウェディングなどでファントムIVを使用している。

最後に紹介するファントムVは、ジェームズ・ヤングがコーチワークを手がけたPV22。1963年にマークス&スペンサーが、自社の会長であるマークス卿のために発注し、翌年に納車された。走行距離は15万km弱で、現在もみごとなコンディションが保たれている。

その後の6代目が1991年に生産を終え、しばらく車名が途絶えるが、2003年にBMW傘下で復活し、今や8世代を数えるファントム。最近は芸術的なビスポーク・モデルを次々と発表しており、今後も歴史に残るようなファントムが現れることが期待される。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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