2025.09.27

CARS

24年ぶりに帰ってきた!6代目ホンダ・プレリュード試乗 “元祖デートカー“が令和に蘇る

6代目となるホンダ・プレリュード。2ドア・クーペの「スペシャルティ・カー」を復活させたホンダに大きな拍手を送りたい気持ちになる。

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電気なのにエンジン車みたい

それから1ヶ月。ついに先行試乗会が開かれた。その舞台となったのは、静岡県伊豆市にあるサイクルスポーツセンター。1周5kmのロードコースを6周だけ走らせてもらった。

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で、結論から言うと、この「令和のデートカー」は、これまで体験したどんなスポーツカーとも違う、「新感覚スポーツ」としか言いようがない乗り味を待っていたのだ。

静岡県伊豆市にあるサイクルスポーツセンターのロードコースを走る新型プレリュード。この試乗車のボディ・カラーは新色となるムーンリットホワイト・パール(月の光に照らされた白)で、これがこのクルマのイメージ・カラーになるという。

大きなドアを開け、低いドライバーズ・シートに腰を下ろし、スタート・ボタンを押してシステムを起動する。フロントに横置きされる2リッター直4エンジンは、この時点ではかからない。ドライブ・セレクターをDにしてアクセレレーターを踏み込んでいくと、電気モーターを使って前輪を駆動して走り出す。

この時、メーターパネル内には「EV」の文字が緑色に点灯。完全な電気自動車として、リアシートの下に置かれたリチウムイオン・バッテリーから供給される電力で走っているわけだ。しかし、この状態で走れるのは、せいぜい数km。この時は1kmも行かない内にエンジンが始動した。そこからはハイブリッドになるが、ではエンジンとモーターの両方を動力源として走っていたかというと、そうではない。エンジンはあくまで発電用で、その後も電気モーターだけで走行していたのだ。

つまり、このクルマは基本的に電気自動車で、エンジンを動力源として直接使うのは、高速道路などを巡航する際に直結モードになる時のみ。しかし、この日のコースでは直線が短く、直結モードにはならなかった。だから、6周のあいだ、ずっと電気モーターで走っていたことになる。にもかかわらず、電気自動車のような走りとはまるで違っていたところが、私が「新感覚スポーツ」と呼ぶゆえんである。

なにしろ、私はずっとエンジンでクルマを走らせている感覚でいたのだ。アクセレレーターを踏み込むと、エンジン音が高まり、気持ちよく加速していく。電気モーターで走っているのに、あたかもエンジンで走っている感覚にさせるように、クルマが味付けされているから、そう錯覚してしまうのだ。

といって、昔ながらのエンジンを搭載するスポーツカーのような激しさや、汗臭さとは無縁だ。あくまでも気持ちよく、おおらかだけれどもメリハリはちゃんとあって、よく曲がり、よく加速するスポーティさを備えた走り。グライダーが大空を滑空する感覚とはこういうものかと、私は思わず膝を打った。

ドライブ・モードは、デフォルトの「GT」に加え、「コンフォート」と「スポーツ」が用意される。シビック・タイプRから移植されたという前デュアルアクシス・ストラット、後ろマルチリンクの足回りは、可変ダンパーも含めてプレリュード用にチューニングされており、GTでも乗り心地は抜群にいい。コンフォートではさらに快適な、それこそデートカーにピッタリの乗り味になる。逆にスポーツでは、足もステアリング・フィールもいっそう引き締まって、あたかもスポーツカーのような味付けになるが、それでもグライダーの気持ちよさから逸脱することはない。

さらに特筆すべきは、どのモードからでも、S + ボタンひと押しで「ホンダS+シフト」を選択できることだ。これをオンにすると、メーターはそれまでのパワーインジケーターと速度計から、回転計と速度計の2連になり、さらにCVTで無段変速なのに、あたかもギアがついているかのように何速に入っているかが表示される。





ステアリングの裏のパドルも、回生ブレーキの強さ調節用からシフト用に変身。で、実際にシフト・ショックが伝わり、ブリッピング音までもが聞こえてくるようになるから驚きである。もちろん、すべて人工的に作られた擬似的なものだが、節度感のある大人の味付けになっている。

ホンダのエンジニアによれば、S+のSは、スポーツではなくシンクロナイズ。すなわち、一体感を強めて、クルマとの対話をもっと楽しんでもらうためのシステムだという。実際、私は林間コースを走りながら、この気持ちよさはクセになりそうだな、とS+シフトの走りを満喫していた。

果たして、この新感覚の見た目と走りを持った新型プレリュードは、「令和のデートカー」として老若男女のクルマ好きにどう受け入れられるのか。今年一番の注目車が登場した。

ボディ・スタイルは、これまでのノッチバックから、新型ではハッチバックになった。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=望月浩彦(白)/佐藤慎吾(本誌・赤)

■ホンダ・プレリュード

駆動方式 フロント横置きエンジン+2電気モーター前輪駆動  
全長×全幅×全高 4520×1880×1355mm  
ホイールベース 2605mm  
車両重量 1460kg  
エンジン形式 2.0リッター直噴アトキンソンサイクル  
エンジン最高出力 104kW/6000rpm  
エンジン最大トルク 182Nm/4500rpm  
電気モーター最高出力 135kW/5000-6000rpm  
電気モーター最大トルク 315Nm/0-2000rpm  
トランスミッション 電気式CVT  
サスペンション(前) デュアルアクシス・ストラット/コイル  
サスペンション(後) マルチリンク/コイル  
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク  
タイヤ(前後) 235/40R19  
車両本体価格(税込) 617万9800円  



(ENGINE2025年11月号)
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