2025.10.24

LIFESTYLE

絶対に夫婦で見てはいけない映画?! 『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』 笑いと修羅場の夫婦間戦争が勃発!!

『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン。105分。10月24日(金)TOHOシネマズ 日本橋、新宿ピカデリー他全国公開(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

全ての画像を見る
仁義なき夫婦喧嘩を描いた1989年のヒット作が装いも新たに登場。現代的にアップデートされた“崖っぷち夫婦”のバトルの行方は?

advertisement


夫婦喧嘩は犬も食わないとはよくいったものだが、その争いは時に両者が一歩も譲り合うことのない泥沼と化すことがある。マイケル・ダグラスとキャスリーン・ターナーが共演した1989年の映画『ローズ家の戦争』が描いたのは、まさにそんな修羅場。価値観の相違からお互いを憎み合うようになった2人は、文字通り、命がけのバトルを繰り広げるのである。

ベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマンといえばイギリスを代表する2人の名優だが、意外なことに今回が初共演となる。

『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』は、この『ローズ家の戦争』を再映画化したコメディである。今回、夫婦を演じるのはベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマン。前作の公開から30年以上が経ち、内容的にも現代的にアップデートされている。

ロンドンからアメリカ西海岸に移り住んだローズ夫妻は、双子の子供にも恵まれ、幸せな家庭を築いていた。だが才能ある建築家として世間の注目を集めていた夫のキャリアは、ある不運な出来事により空中分解。一方、流行らないレストランを経営していた妻は、偶然店を訪れた料理評論家のおかげでスター・シェフとしての道を歩み始める。職を失い子育てに専念するようになった夫と、仕事で家を留守にすることが多くなった妻。立場が逆転した2人の関係に、次第に暗雲が垂れ込める。



前作では、弁護士として成功した夫が、ようやく子育てを終え、自らの夢を叶えようとする妻に対し無理解だったことから亀裂が生じた。そこから妻が手塩にかけてつくりあげたマイホームの争奪戦がはじまったのだが、本作はまったくの逆パターン。マイホームをめぐる争いは同じでも、家を建てたのは建築家の夫の方で、金を出したのは事業で成功した妻なのである。



だがこの2つの作品、そもそも全体的な印象が異なる。89年版は、次第にエスカレートしていく夫婦の報復合戦に焦点を当てているように見えたが、今回は、バトルそのものよりも、澱のようにたまっていく相手への不信感、一度はまったら抜け出すことのできない、底なし沼のような状況を描くことに重きを置いているように感じられた。いかに努力しようとも、理想的な夫婦関係を持続させることは時に難しい。そんなやるせない現実を突きつけてくる作品だ。

文=永野正雄(ENGINE編集部)


■『ローズ家~崖っぷちの夫婦~』

監督はコメディからシリアスものまで幅広いジャンルの作品を手掛けるジェイ・ローチ。脚本はオリヴィア・コールマンにオスカーをもたらした『女王陛下のお気に入り』を手掛けたトニー・マクナマラ。配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン。105分。10月24日(金)TOHOシネマズ 日本橋、新宿ピカデリー他全国公開(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

(ENGINE 2025年11月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement