フェラーリがついに“その時”を迎えた。マラネロで世界初披露された、ブランド初のフル電動モデル(BEV)「エレットリカ」。
これは、単なるゼロエミッションを達成する新型車ではない。V12エンジンの伝統を堅持しつつ、フェラーリが未来のドライビングプレジャーをどう定義し直すのか——。
現地マラネロでその瞬間を目撃した西川淳が、フェラーリの次なる章をリポートする!
コンポーネンツの開発はすべてマラネロ謹製
アクティブ顧客層(この3、4年のうちに新車を購入)がこの5年で2割も増え、9万人に達したフェラーリ。18万人の“フェラリスティ”から4億人以上の“ティフォシ”に向けた強力かつ挑戦的な声明を発表した。
ベネデット・ヴィーニャCEOは「市場のリーダーとして常に革新的でありたい。あらゆる技術を用いてユニークなドライビング・スリルを提供し、環境性能など社会的要求にも応える。そうしてカスタマーの満足度を高め、新たな顧客も獲得する」と力強く語る。
具体的にはこうだ。30年までに年間平均4台の新型をデビューさせ、その暁には内燃機関40%+ハイブリッド40%+フル電動20%という構成比となる(つまりエンジンの開発はV12も含め今後も強力に推し進める)。支える技術革新はモータースポーツと深い絆で結ばれ、これまでの内燃機関がそうだったように電動コンポーネンツの開発に関しても全てインハウスで行う。結果、ブランド価値の独自性はいっそう高まることになる。
フェラーリ初のBEV「エレットリカ」の根幹が、ついに姿を現す
10月9日、投資家やアナリスト、経済メディア向けに開催したキャピタル・マーケット・デイにおいて、マラネロはそんな事業戦略を披露したのだった。なかでも注目はフェラーリ初のフル電動モデル「エレットリカ」のベアシャシー(車体フレームのみの状態)だ。
その前日、同社の新工場、eビルディングに招かれたメディアは電動モデルの技術的ハイライトについて学んでいた。冒頭のCEOの言葉はその際に発せられたコメントで、そのとき彼の傍にはシルバーに輝き、プロジェクション・マッピングが機能概要を示すベアシャシーがあった。
フロントビームが短い。エンジンレスらしくオーバーハングの短さを物語る。前後にeアクスルが収まっていた。サスペンションは前後ともアクティヴシステムで、見た目にプロサングエとよく似る。バッテリーモジュールが並んだアルミフロアはリアアクスル直前で立ち上がる構造となっていた。
60以上の特許が散りばめられ、75%はリサイクルアルミニウム製で、1台あたり6.5トンものCO2を削減する見込みだ。技術的にも社会的にも“その機”が熟したからこそマラネロはフル電動モデルのリリースを決意したのだ。
