2025.10.18

CARS

フェラーリ初の電動モデルはプロサングエ似!? 完全電動化の幕開け、V12の鼓動も止まらず!

フェラーリがマラネロでブランド初のフル電動モデル「エレットリカ」を世界初披露。伝統のV12エンジンを継続開発しながら、いよいよ電動化の時代へ踏み出した。“エンジンのフェラーリ”は、電気でも魂を鳴らせるのか——。現地取材でその答えを探った!

全ての画像を見る

4ドア4シーター、フェラーリらしさを保つBEVパッケージ

ホイールベースが3m近いベアシャシー。4シーター+4ドアだ。GTC4ルッソやプロサングエと同じキャラながら、ドライビングスリルとユーザビリティで上回る。

advertisement


心臓=バッテリーシステムの基本となるセルは韓国SK製だ。それを14個まとめてひとつのモジュールにし、さらに15個のモジュールをアルミニウムケースに組み込みシャシーを構成する。バッテリー総容量は122kWhだ。

重心高が80mm下がり、前後重量バランスも47:53と理想の数値に。重要なのはモジュールへのアクセスが容易で交換も可能であること。設計と開発、セルの組み立て以降の生産を全てeビルディングで行うゆえ、将来的にセルメーカーが変わってもモジュール内の設計変更で対応できる。電動モデルの将来的な価値低下を防ぐ重要な戦略だ。2基の電気モーターから成るeアクスルシステム(前後)=高出力モーター・トランスミッション・インバーターも同様である。




前後で計4モーター! 新世代アクティブ・サスペンションを採用

フロントアクスルの同期型永久磁石モーターは2基合計で210kWの出力を発揮。最大3500Nmものトルクを供給する。任意の速度域で瞬時に車輪から切り離せるから、AWDとRWDの効率的な運用も可能だ。

リアアクスルの出力は2基のモーター併せて620kWで、伝達可能な最大トルクは実に8000Nm。ちなみにフロントeアクスルではモーター2基をひとつのインバーターで制御し、リアでは左右のモーターそれぞれに専用のインバーターで制御する。

独立型リアサブフレームの初採用も面白い。低圧鋳造の中空アルミ合金フレームにアクスルとサスペンションを搭載、エラストマー・ブッシュ(弾性素材製の緩衝部品)によってシャシーと結合する。スポーツカーとしての性能と、eアクスル由来の騒音・振動・ハーシュネス(不快な衝撃)の抑制を両立した。整備性にも優れる。

アクティブ・サスペンションも大幅に進化した。4つのモーターと四輪操舵を組み合わせ、全ての動的条件下で縦・前後・横方向の力をアクチュエーターで制御できるフェラーリ初のモデルとなり、曲がることが大好きなBEVになることは間違いない。




アップル出身デザイナーとフェラーリの共演

サウンドにも注目したい。静粛性はもちろん、“本物の音”を出すことにこだわった。内燃機関の音を真似たり、いわゆる宇宙船サウンドを演出したりはしない。主にパワートレインから発せられる全ての振動を拾って解析し、ドライバーが動的な状況を理解するために役立つ周波数のみをエレキギターのようにアンプで増幅して音へと変換、心地よく聞かせる。エンジン・フェラーリのサウンドのようにモデル毎にユニークな音が実現されるという。

総合出力1000ps以上(ブーストモード)、車重2.3トン(BEVとしては軽い!)、0→100km/h加速2.5秒(十分)、航続レンジ530km以上(少々不安)、最高速310km/h(十分)というマラネロ初のBEVは限定車ではなくシリーズモデルとなる。

来春にも公開される内外装のデザインは、元アップル社のデザイナーが19年に米西海岸に設立し2021年からマラネロと密接な関係を保つラブフロム社とチェントロスティーレとのコラボになるようだ。それもまた楽しみ。



文=西川淳 写真=フェラーリ S.p.A.

(ENGINE Webオリジナル)
タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement